エソラ

師走のせいなのか、慌しくなってまいりました。まあ、仕事が慌しいというより、無駄な飲み会が増えたというような感じかな…むしろ、僕から誘っている(笑)。

うーん。とある会合で、国のほにゃららーという機関から助成を受けて、都市計画の研究をしているという方とお話しする機会がありました。

僕はもうずっと民間の仕事*1ばかりしているので、興味津々だったのですが、まあ、いろんな意味で勉強にはなりましたよ。

まあ、何ていうかなぁ、その方はヨーロッパ製のソファーがよく似合うと思いました。それに対して、僕の都市理論なんて路上のガードレールに腰掛けているようなもの*2。その「落差」は、都市計画の専門家が語る絵空事(絵巻物)と、僕のこのブログ(日記)とbabyismのエソラ事との違いを見れば、一目瞭然であったのかも知れませんが、僕はこの国の「公共性」などについてはもうこれ以上、考えなくて良いのだと知りました。いろんな意味で。

うーん。けれど、ずっと礼儀正しく接していた自分自身に腹が立ってきたな(怒)。でも、匿名のブログで八つ当たりする自分もカッコ悪い。その日の出来事はさっぱり忘れるのが正解。削除。

(。・ω・)σ ⌒*3 ぽい。

まあ、この国の「公共性」について考えるならば、「経済性」をフックにしなければならない、とは思いました。*4

「君は愛よりカネなのか?」とか言われると、返す言葉には困りますが、これには、「愛」を語る人間のほうがじつは「カネ」目当てだったというドンデン返しだってあるでしょう、と言うしかない。

「愛」と「愛を語る」は別物です。*5

(少し酔ってるw)

では、今回の本題…の前に、前回の12月1日「雑記4」の補足で、流通・小売業界では、「小型化」と「巨大化」の「二極化」が進行していると書きましたが、もっとも先鋭的なのは、そのどちらでもなくて「専門化」です。いわゆる「カテゴリーキラー」です。その辺の話を10月26日「イオンレイクタウン-3」の次ぐらいに書く予定だったのですが、忘れてた(泣)。いずれまた書きます。

とりあえず、例えば、2006年にオープンした「アーバンドック ららぽーと豊洲」は、「カテゴリーキラー」の集積によるショッピングモールとして(業界で)知られてます。つまり、ここには「核店舗」*6がないのです。10月13日「イオンレイクタウン」の記事で、「『2核1モール』型から脱却して(中略)着々と進化している」と書きましたが、これもその兆候の一つです。同様の変化は、アメリカでも見られます。

そして、同じくその12月1日「雑記4」では、都市理論を「図」を使って説明をしましたが、この方法は割と良かったのではないかと思いました。よって、同様にbabyismのIntegral Project-3の5で書いた「トランジットシティ」も、図を使って説明をしたほうが良いと思って*7、(簡単にですが)作図してみました。まず、「鉄道的リアリズム」の空間の中心(駅前、中心市街地)と、「自動車的リアリズム」の空間の中心(バイパスや幹線道路沿い等に密集するロードサイド店)が、「都市交通の様々な要因によって、2中心がズレてしまう」過程の図です(下図)。



うーん。それほど分かりやすくはないかも(笑)(泣)。

とりあえず、この図(上図)は、ロードサイド店が並び建つ景色(「ファスト風土」)を、美醜の問題(景観問題)から論じる(建築史家の五十嵐太郎的な)アプローチでもなく、犯罪や社会問題から論じる(社会学者の三浦展宮台真司的な)アプローチでもなく、単純に、「ファスト風土」が発生・生成するという都市の現象を、理論(仮説)から考えるというアプローチの一つです。*8

また、この図(上図)は、「鉄道的リアリズム」と「自動車的リアリズム」の空間の「2中心がズレる」というより、「交通渋滞」対策の土木工事(公共工事)によって、都市の中心位置が変わってしまう、というラディカルなシナリオ(仮説)でもあります。つまり、「自動車的リアリズム」の空間が優位となる時代においては、中心市街地はもはや中心には位置していない、ということです。よって、これを例えば、「コンパクトシティ」誘導政策によって、中心位置を元に戻そうというのは、かなり無謀なのではないかと、僕にはどうしても思えます。*9

そこで、「コンパクトシティ」の代案として、babyismのIntegral Project-3で書いた「トランジットシティ」の登場です。「ファスト風土」が生じた原因が都市の交通問題にあるならば、交通の流れを整える(変える、利用する)ことによって、中心市街地を再活性化させるほうが(過剰に法規制するよりも)自然ではないか、と思います。*10

ところで、「コンパクトシティ」を推す建築家は結構、多かったりするのですが、とある建築家の最近のウェブ日記を読んで、驚いた。「時代錯誤的な建築家は僕の周りにも沢山いる。使命感を持って都市計画的問題に取り組んでいる建築家ほど手に負えないものはない」のだそうです。でも、この方も、かなり最近まで「コンパクトシティ」を掲げていたような記憶はある。うーん。具体的に何を指されているのかが分からないので、深くは言えませんが、もしかしたら、「公共性」が喪失したと言われる「ゼロ年代*11以降の、これからの新しい時代を生きる術を、ご鞭撻されているのかも知れません。

僕は、「都市」(都市計画を含む)こそが、21世紀における「公共性」の獲得へ向けた唯一の希望*12だと思ってますが、その可否について、今一度、まとめてみようと思います。

とりあえず、都市理論の話は一旦、ここで保留します。以上です。

ではでは。

(。・ω・)ノシノシ

あー、あとそれから、前回の12月1日「雑記4」で、Mr.Childrenのニューアルバム「SUPERMARKET FANTASY」のタイトルは、日常的な「スーパーマーケット」の中に非日常的な(後略)と書きましたが、これは間違いでした(泣)。Mr.Childrenの新曲「エソラ」(下に貼ったYouTube)を見て、間違いに気付きました。訂正。

(リンクが切れていたらここ

では、今日はこの辺で。クリスマスの前に、もう一記事くらいは書くだろうと思いますが、一応、メリークリスマス!!と先に書いておきます(笑)。

・ω・)ノシ

*1:プロフィール参照。

*2:8月13日「柏 マイ・ラブ」参照(僕の都市理論について)。

*3:8月20日「柏の葉から考える」参照(公共性について)。

*4:Natural World-4の補足の6参照(経済とハワード、ル・コルビュジエ)。

*5:Computer City参照(愛について)。

*6:Guide to Shopping参照(核店舗について)。

*7:表記-2参照(「明晰かつ判明」を指標とする、ルネ・デカルト)。

*8:もちろん、ロードサイド店の側からの「立地論」的なアプローチもある。沖縄参照(ジャスコとハフモデルの数式)。

*9:Coffee & TVIntegral Project-3参照(コンパクトシティについて)。一応、僕は「コンパクトシティ」誘導政策には否定的ですが(基本的に僕は、これは新しい「ハコモノ行政」だと考えている。とくに青森市がひどい)、ただ、この政策による効果は30年後、半世紀後にやっと現れるようなものなので、そういった長期的なビジョンであるという点においては否定しない。ただ、あまりにも長期的過ぎるような気がしなくもない。

*10:8月5日「イケア」の注釈3参照(cf. 交通の問題は交通の仕組みによって解決する)。

*11:宇野常寛著「ゼロ年代の想像力」。「ゼロ年代」とは、(90年代的な)個人を包み込む大きな何か(物語、理想、セカイ)を否定して、小さな何か(私性、身の丈)を基点として、自分の周りからのしなやかな連携の拡大を目指す、という自意識のパラダイムシフトのこと(たぶん)。もちろん、2000年から2009年までの10年間のことでもある。

*12:11月2日「マンハッタンのゆくえ(前)」参照(Mr.ChildrenHANABI」の歌詞、理想や希望について)。

雑記4

ますます寒くなってきました。

昨晩、このはてな日記(ブログ)のタイトルの絵も「衣替え」しようと思ったのですが、新しい絵に取り替えようとしても、なぜかシステムが反応してくれない(泣)。困りました。

とりあえず、新しい絵はこれにする予定です。背景は「りんくうプレミアム・アウトレット」の写真です。*1

他にもいくつか考えました。最初に考えたのは「ラゾーナ川崎」のGoogleマップストリートビューの画像。これです。

後は、もっと激しくてワイルドなバージョン。これこれ。前者の背景の画像は、前回の11月16日「雑記3」の記事で書いた、Richardson及びEvansの都市サイズ・モデルのグラフです。そんな素晴らしい実績の上に落書きするのは、あまりにも不敬かも知れない(笑)。却下。後者の背景の絵はこれです。マデロン・フリーセンドルフ(Madelon Vriesendorp)が描いた「Greed」(1973年)です。*2

では、いつものように、ニュースです(下記)。

イオンが低価格食品スーパー 都内に小型店
日経トレンディ、2008年9月10日)

スーパー:ディスカウントストア相次ぎ出店
毎日新聞、2008年11月18日)
(前略)イオンも9月末、東京都練馬区に食料品中心の小型スーパー「アコレ」の1号店、平和台駅前店を開業した。コンビニエンスストアの2倍程度の広さで、(中略)割安感をアピールしている。生鮮食品に力を入れるローソンなどのコンビニに対抗する狙いもありそうだ。今後、多店舗展開を検討している。

タワーレコード、新宿に駅チカの新業態小型店舗「TOWERmini」第1号店をオープン
日経トレンディ、2008年10月21日)

TOWERmini フレンテ新宿店
intoxicate、2008年11月14日)
タワーレコードの小さい版、TOWERminiが11/11に都営大江戸線京王新線新宿駅の改札近くにオープンしました。

流通・小売業界では、「小型化」(ミニ化、コンビニ化、散布化)の流れが進行している模様です。

でも、その一方で、「イオンレイクタウン」のような「巨大化」(ショッピングモール化、拠点化)も進行しています。市場は「二極化」しているのかも知れません。

ところで、12月10日にMr.Childrenのニューアルバム「SUPERMARKET FANTASY」が発売です!

上記の2つのニュースからミスチルを連想した僕はかなりやばいかも知れませんが(笑)、このアルバムには、11月2日「マンハッタンのゆくえ(前)」で貼った「HANABI」、8月8日「北京オリンピック」で貼った「GIFT」、そして11月16日「雑記3」で貼った「花の匂い」が収録されています。余裕でミリオン(100万枚)を突破するでしょう。あとそれから、アルバムのタイトルが面白いと思いました。日常的な「スーパーマーケット」の中に非日常的な「ファンタジー」を見い出す、という(とてもゼロ年代的な)視点なのだと思います。

では、ニュースをもう一つ(下記)。

「大阪の主軸を西に」 橋下知事が“新都市構想”
産経新聞、2008年11月27日)

(前略)大阪府橋下徹知事は26日、大阪の将来像について「戦略的なインフラ(社会経済基盤)の整備は絶対に必要。現在は南北の御堂筋が大阪の中心だが、主軸を西に広げたい」と述べ、WTCなどが位置するベイエリアが広がる市西部を中心とする都市構想を明らかにした。

(中略)橋下知事は、大阪の活性化策について、「ムダな施設や役に立たない大型開発とは違ったインフラ整備が必要。主軸を東西に広げたい」と話し、現在は梅田難波という南北ラインが中心となっているまちづくりの見直しを訴えた。

東西に主軸を広げる具体策として、阪神高速淀川左岸線の延伸▽京阪電鉄中之島線の延伸▽JR大阪駅北側の再開発地区「梅田北ヤード」(梅田貨物駅跡地)とJR難波駅を結ぶ鉄道の新設−などで、大阪市中心部と、関西国際空港や近隣各府県とのアクセスを充実させるプランを披露。「構想が実現すると、ベイエリアにある南港が(交通網の)結節点になる」と述べ、市西部を関西活性化の拠点とする必要性を強調した。(後略)

うーん、これから「大阪」が面白くなるのかも知れません。*3

ところで、今月発売の「a+u」12月号の「特集:環境と向き合うドイツの建築」に、「ハーフェンシティ」(HafenCity)という都市再開発のプロジェクトが載ってます。21世紀におけるヨーロッパ最大規模の再開発であるそうです。「ハーフェンシティ」は、ドイツ第2位の都市ハンブルクベイエリアに位置してます(ドイツ第1位の都市はもちろんベルリンです)。ハンブルクと大阪は、状況が似ているような気がします。

そのオフィシャルサイトはここです。図面等も充実してます、今度じっくり見てみよう、と思ってます。*4

(ここまでは昨日(11月30日)書きました)

では、本題…の前に、11月9日「マンハッタンのゆくえ(後)」の記事で、マンハッタンの最新の高層マンション(計画案)をいくつか挙げましたが、レム・コールハースを忘れてました。この高層マンションです、隣の建築物を「上空侵犯」しています。コールハース「ホイットニー美術館拡張計画」(2003年)をはじめて見たときのあの驚きを、思い出しました。

そして、同じくその11月9日「マンハッタンのゆくえ(後)」の記事の、「都心流入率」の減少による効率性についての説明が、あまりにも下手(泣)なので、簡単な(仮想の)都市モデルを組み立てて、解いて、計算して、そして、作図しました(下図)。これが今回の本題。交通(道路等)は中心から全て放射状に広がっていると抽象して*5、更にこれに環状線(環状道路)を1つプラスした都市モデルです。そうして、環状線上に「エッジシティ」が生成すると仮定して、その「エッジシティ」の数ごとに都市の(臨界)形態を求めてます。

この図よりも、babyismのIntegral Project-3の4に貼った、セル・オートマトンこの動画(YouTube)のほうが、現実の都市の現象に近いとは思います。でも、9月25日「蘇生」で書いた「都心流入率は低いほうが効率が良い」理由等の説明には、この図(上図)のほうが分かり易いのではないかと思います。

具体的には、まず、都心流入率が下がる(都心の半径が縮小する)につれて、都市全体の半径が拡がる(都市が成長する、都市人口が増加する)ということが、この図(上図)から分かります。それから、都心の半径が縮小するということは、かつて都心だった場所が都心ではなくなって住宅地に変わる(都心マンションが建つ、都心の郊外化)ということです。また、都心の半径が縮小するにつれて、環状線上の「エッジシティ」が成長するということは、かつて都心が担っていた場所(商業集積地)が郊外へ移っている(都心が空洞化する、環状線の近くにイオンレイクタウンが建つ)ということです。

もちろん、この(仮想の)都市モデルは、かなり特殊・限定的なので、通時的には意味不明です。例えば、都市が成長するにつれて「エッジシティ」の数が増える(2→3→4→5)のはいいとしても、その「エッジシティ」が環状線に沿って等間隔に並ぶということは、さすがにあり得ない(笑)*6。でも、まあ、とりあえず、大雑把に言えば、「都心流入率」が減少に向かう過程では、都市の内部で何か複雑な現象(カオス化、同心円ではない)が起きている、ということです、

以上です。

今回こそは、前回の11月16日「雑記3」や前々回の11月9日「マンハッタンのゆくえ(後)」の続きで、「都市経済学」や都市社会学者のリチャード・フロリダについて、書こうと思っていたのですが、上の都市モデルの計算と作図に、意外と手間取ってしまいました(泣)。都市モデルとしては、かなり粗いですが、それなりにポイントは突いている、結構分かりやすいアウトプットに仕上がっているのではないかなぁと思います、

ではでは。

(。・ω・)ノシノシ

(追記)

前回の11月16日「雑記3」の記事に、フランスのル・アーヴルの街並の写真を貼りましたが、それと同じ場所の、夜の写真がありました(下図)。*7

思わず、メリークリスマス!とか言ってしまいそうな(笑)、そんな幻想的な写真です。でも、キリスト教の伝統があるヨーロッパの都市では、いつもと変わらぬ冬の街景色なのかも知れません。*8

それから、別にどうでもいい話ですが、クリスマスはバスがよく似合う(車でも電車でもなく)と思う今日この頃です。根拠はないけど、何となく。

*1:のタイトルの絵は「御殿場プレミアム・アウトレット」の写真です。8月2日「アウトレットモール」参照。

*2:マデロン・フリーセンドルフは「錯乱のニューヨーク」(レム・コールハース著)の表紙の絵(「Flagrant Delit」(「現行犯」)、1975年)を描いた人です。レム・コールハースの妻。

*3:ちなみに、僕は(千葉県)柏市の出身ですが、生まれは「大阪」です。記憶はあらへんけどな。

*4:「ハーフェンシティ」の航空写真はここ(Google Maps)です。

*5:Integral Project-1参照。

*6:(追記:「エッジシティ」が環状線に沿って等間隔になろうとする(都市の)「回転運動」は起きるかも知れない…でも、それよりも先に、各々の「エッジシティ」を中心にして、新たに同心円構造が派生するかも知れない。例えばこの図のように。でも、その図のようになるならば、当然、元の都心の半径やエッジシティの半径等にも影響を及ぼすので、怒涛の繰り返し計算をしなければならない…よって、省略(泣)。でも、その影響が作用する大まかな方向性は、本記事内の図と同じだと思います)

*7:ウィキメディアここにあったこの写真です。

*8:誤算-4(クリスマス)とMaterial World-1キリスト教)参照。ついでに、第二次世界大戦でイギリス軍に空爆・破壊される以前のル・アーヴル中心市街地の写真はこれ(1920年代)これ(1919年)です。あと、ル・アーヴル出身のクロード・モネが描いた、ル・アーヴルの絵はこれ(1885年)です。表記-5参照(モネ)。

雑記3

だんだん寒くなってきました。

とりあえず、今年は風邪をひかないように、(babyismのIntegral Project-3に書いた話のことですが)、ちゃんとステテコを履こうと思ってます。さすがに、まだ早いけど。

何となく、今、この写真を思い出しました(下図)。

これはウィキペディアで見つけた、フランス北部のル・アーヴル(Le Havre)の街並のこの写真です。いつ何の目的で調べていて、このページにたどり着いたのかは全く覚えていませんが、この写真のことだけは、なぜか覚えていました。じつを言うと、この写真を(ネットから)再び探し出すのには結構、苦労した(笑)。

この写真がどうして記憶に残っていたのかなぁ…雪がうっすらと積もっているからなのか、煙突からの白い蒸気が建物内の温もりを伝えているからなのか、自動車の赤のテールランプに郷愁のような何かを感じるからなのか、街並の先に塔が見えている*1からなのか、街並の三角屋根の家々と四角い建築が程よく混ざっているからなのか、夜とも朝ともつかない夜明け前の静寂の中に点々とする微かな動き(始まり)が写真から丁寧に読み取れるからなのか、と、ざっと考えてはみたけど、よく分かりません。

まあ、でも、この写真は好きです。しんみりとしてながら、かと言って後ろ向きではない、外気は冷やっとしているけど、服に包まれている体は暖かい、みたいなそんな感じのする写真です。

(追記。もしこれが夕暮れ時の写真であれば、僕は好きにならなかったかも知れない。僕はこれから何かが始まるという予感めいた時間帯(と場所)が好きで、それはbabyismのグローバリゼーション(town)の記事で「新しい街は楽しい」と書いていたり、アメリカの住宅で「新しいものの萌芽のある場所が僕は好きである」と書いていたことと関係していると思います。また、僕は郊外の典型的なニュータウン育ちなのですが*2、それは建設途上のニュータウンで、僕は毎日、造成中・建築中の工事現場を通学していたこと、すなわち、街が始まろうとしている時間帯(と場所)が僕の原風景であるということも関係しているのかも知れない。何となく)

ところで、第二次世界大戦中、ル・アーヴルはドイツ軍の占領下にありました。そして1944年の「ノルマンディー上陸作戦」の3ヵ月後から始まったイギリス軍の空爆によって、ル・アーヴル中心市街地は廃墟となりました。それから1945年から1964年にかけて、中心市街地は再建されました、というか、ほとんどウィキペディアから丸写ししている(笑)だけなので、(興味がある方は)ウィキペディア「オーギュスト・ペレによって再建された都市ル・アーヴル」を読んでみてください。*3

(。・ω・) 手抜き?

この再建で特筆すべきところは、建造物が全てコンクリート造であることと道路網が碁盤目状(「グリッド」)であることだと思います。ウィキペディアから少し引用すると、「ル・アーヴルの碁盤目状計画は、都市空間を厳格に組織し、風通しのよい直線的な街路に、整然と住宅のファサードを並べることを可能にした。碁盤目の横の長さは6.24mを基準としてその整数倍とされており、これは当時のコンクリートの梁の長さにとって最適な範囲が企図されたものである」そうです。つまり、建築の工法にも合うように都市を設計した、ということです。

破壊と再建、か。まあ、でも、戦争はほんとに嫌ですね。もちろん僕は戦争なんて「経験」していないわけだけど、例えば、Mr.Children「花の匂い」のYouTubeを見ると*4、それだけで(たった5分でw)感情が揺さぶられてウルッとしてしまいます。ちなみに、この曲は、今月22日公開の映画「私は貝になりたい」予告編のYouTube)の主題歌です。音楽にせよ、映画にせよ、戦争を抑止する力の可能性が少しでもあるならば、それは良いことだと思います。同様に、その力の可能性は、都市計画や建築にもあると信じます。*5

(´;ω;`)

ではでは、今日の本題…の前に、先週のこのニュースです(下記)。

「関東大震災がチャンス」=東京一極集中打破で−兵庫県知事が発言
時事通信、2008年11月11日)

兵庫県井戸敏三知事は11日、和歌山市内で開かれた近畿ブロック知事会議に出席し、経済などの「東京一極集中の打破」について、「関東での大震災がチャンス」と発言した。多大な人的被害などが予想される首都圏での大規模地震を期待するかのような発言に批判が出そうだ。

この発言に対し、会議後に記者会見した橋下徹大阪府知事は「首都圏に震災被害があった場合、バックアップ機能が必要だという真意は全知事が分かっている」としながらも、「公の場で言ったのはまずかった。いつも不適切な発言ばかりやっている僕から見ても不適切な発言だった」と指摘した。(後略)

もちろんこれは大問題発言ですが、僕は面白いなぁと思いました。なぜなら、その一方で、「東京が衰退すれば日本全体が衰退する」、「だから、地方は東京を支えなければならない」みたいな主張をされる人も大勢いるからです。

では問題です、東京が衰退したら地方都市はどうなるのか、これを(興味がある方は)考えてみてください。その答えは、僕は書きませんよ(笑)、というか、これは「学問」ではなく、ほとんど「政治」の世界だと思います。「東京が衰退すれば日本全体が衰退する」と主張される人は、東京在住者(土地所有者)か東京から利益を得ている人でしょう。これは「政治」へ向けた力をそのまま言葉にした「物語」であると思います。

同様に、兵庫県知事も兵庫県の利益のことしか考えていないと思います(問題発言から察すると)。地元の利益を第一に考えることは、そこから選出された代表者の責務かも知れませんが、何かが外れているような気がしなくもありません。ちなみに、オランダのクラッセン(Leo H. Klaasen)という学者は、ヨーロッパの約150の都市を調査・研究して、「大都市が停滞または衰退すると、中都市の人口が急速に成長する」*6ということは発見しています。まあ、だから何だ?という話でしょうけどね。

さてさて、前回(先週)の11月9日「マンハッタンのゆくえ(後)」で、「都市経済学」を復習しておく、と書いたけど、そんな時間はなかったです(泣)。

まあ、大雑把に言うと、都市の「適正規模」が5タイプある、という話です。Richardson及びEvansの都市サイズ・モデルとか何とかです。babyismのNatural World-2の記事で少し触れた、「立地論」の本*7に紹介されていて、興味をもちました。

都市の人口規模が増大すると、ある程度までは「集積の利」が働くけど、ある規模を越えると、一人当たりの都市建設・維持費用(コスト)が一人当たりの便益(収入等)にだんだん急接近し始めて、11月9日「マンハッタンのゆくえ(後)」に貼った、アメリカの(風刺)漫画みたいな状況(「WORK」で得られる収入と「DRIVE」等にかかる費用の差がなくなって、俺は何のために働いているんだよ?みたいなせつない状況)に突入してしまう、といった話です。

とは言え、かなりいいかげんな記憶で書いているので、復習してから、ちゃんと書きます。

今日はこの辺で。以上っす。

(。・ω・)ノシ

*1:サン=ジョゼフ教会の塔。オーギュスト・ペレ最後の作品(1956年竣工)。高さ110メートル。オーギュスト・ペレは鉄筋コンクリート建築の先駆者。ル・コルビュジエは、1908年から1910年までの間、オーギュスト・ペレの事務所で働いている。Natural World-1参照(ル・コルビュジエの年表)。

*2:8月13日「柏 マイ・ラブ」8月17日「柏から考える」参照。

*3:ル・アーヴル中心市街地の航空写真はここ(Google Maps)です。(追記。本記事の写真の撮影地点はここ中心市街地から1.5〜2kmくらいの距離)

*4:リンクが切れていたらここ

*5:8月9日「マンハッタン計画」参照。

*6:「Transport and Reurbanization」(Leo H. Klaasen、1981年)。僕は未読です、参考までに。

*7:「都市と地域の立地論―立地モデルの理論と応用」(神頭広好著)。この本は、「立地論」の全体を把握するには良いかも知れないけど、解説は数式だらけで、大学の講義の副教材のような本です。

マンハッタンのゆくえ (後)

書きたいことが山ほどある、というよりも、今現在、世界が慌ただしく動いていて、その「速さ」にこの日記が追いついてないような焦れったさを、どうしても感じてしまいます。

ざっと、ニュースだけ貼っておきます(下記)、ほんとに極端です。

世界最大級の商業施設、ドバイでオープン 1200店舗開業見込み
日本経済新聞、2008年11月5日)*1

ヤマダ電機:三越池袋店跡に出店 10年中にも開業見通し
毎日新聞、2008年11月6日)*2

ドバイ経済に変調 金融危機・原油急落…
日本経済新聞、2008年11月7日)

「欧州で最も高価なビル」ほぼ半値 パリのタワー破産
朝日新聞、2008年11月7日)*3

まるで、経済の「速さ」と建築の「遅さ」がぶつかっているみたいです。

あと、このニュースが面白かったです(下記)。

【原宿スナップ】“建築的構造”の靴!?モード系女子にはたまらない「ユナイテッドヌード」*4
日本経済新聞、2008年10月31日)*5

「ユナイテッドヌード」については、いずれまた詳しく書きます。“靴は最小の建築”であるそうです。また、“シューズ+建築的構造=これまで以上に優れた人体との一体感”というコンセプトも、僕はとても気に入っています。

それは僕がbabyismのスケーリング-5の記事で「都市とは一つの乗り物です」と書いていたり、Integral Project-1で「身体に触れるヴァイオリンや椅子のような都市が僕の理想」と書いていたことに通じている何かだろう、と思います。つまり、要するに、僕は“建築的構造”の都市(都市理論)を目指している、ということです。*6

では、えーと、あれ?今日の本題は何だっけ(笑)。

ヾ(・ω・`;)ノ あわわわ。

先週の11月2日「マンハッタンのゆくえ(前)」で引用した、クラレンス・ペリーの「近隣住区論」を少し補足すると、その文章にある「ニューヨークの街路システム」とは主に「グリッドシステム」のことです。これはbabyismのFlamboyantに書いたニューヨークの歴史や9月3日「抹消された「渋谷」」に書いた磯崎新のエッセイを参照してください。それと、同文章の「地下鉄は、そのルートに沿って高層建築物の建設を促進してきた」はbabyismのWorld of Tomorrowの補足を、軽ーく読んでみてください。

「マンハッタンのゆくえ」については、マンハッタンの最新の高層マンション(ヘルツォーク&ド・ムーロンこの高層マンションやジャン・ヌーヴェルのこれこの高層マンション等)の展開について書こうかな*7とは考えたけど、サンティアゴ・カラトラバ*8の(マンハッタンの)この高層マンションはすでに建設中止が決まっていたり、先行きが見えないので止めます。

それよりも、このニュースです(下記)。

MetroNorth now carries more riders among suburbs than to NY
The New York Times、2006年10月17日)

For the first time in its 23-year history, the Metro-North Railroad is carrying more riders from suburb to suburb than to downtown New York, according to data compiled by the railroad.

このニュースは「もっと学ぼうニッポン:ブログ時代の日本語学習 」というブログの「NY周辺でもエッジシティー化?郊外からNYよりも郊外から郊外客の増加」の記事で見つけたのですが、まさにそのタイトルにある通りです。「エッジシティ」については、10月26日「イオンレイクタウン-3」でも書きましたが、ニューヨーク(マンハッタン周辺)でもエッジシティ化が着実に進行している模様です。

このニューヨークでの都市現象と現在の東京は似ている、と思います。都心に高層マンションが並び建つ一方で周辺は(同時に)どんどんエッジシティ化していく…というこの現象は、僕が9月25日「蘇生」で書いた「都心流入率」の減少による「効率性」で一気に(同時に)説明することが可能です。僕の都市理論はもちろん「仮説」ですが、それでも、これは理論の力であると僕は思います。

そんなわけで、僕はこの都市理論について、きちんと、言葉を尽くして書かなければならないわけですが、悩みます。この現象を比ゆで説明するなら、babyismのIntegral Project-3の4に貼ったセル・オートマトンこの動画(YouTube)みたいに、都市(都市圏)が成長する(都市半径が増加する)につれて、都市(内部)が同心円構造からカオスへ移行する、ということです。

そのように変化する理由は、同心円構造よりカオスのほうが「効率」が良いからなのですが、それはbabyismのスケーリング-3で書いた説明とは全く逆のことなのです。これにはbabyismのIntegral Project-1や、このブログの8月11日「100年後」の注釈で書いた「都市成長境界線」が関係しています。要するに、都市(都市圏)そのものが物的・空間的にある臨界点としての成長限界に達すると、都市(都市圏)内部の構造を変えること(同心円構造→カオス)で、都市(都市圏)の成長を継続させている、ということです。

また、その8月11日「100年後」の注釈では、「用途混合型の都市」には必ず「都市成長境界線」が必要、と書きましたが、現在の東京の都心に高層マンションが建ったり(「職住近接」)、東京近郊に「イオンレイクタウン」が建ったりするのは、東京が一つの臨界点を越えた段階にある、東京そのものが「都市成長境界線」を既に引いている、ということを意味します。

同様に、11月02日「マンハッタンのゆくえ(前)」で書いた、1920年代のマンハッタンが「交通渋滞」が原因で「職住近接」型の都市になったという説明も、「交通渋滞」という内発的要因によって、「都市成長境界線」が引かれた(引かれてしまった)、という意味です。*9

こんな説明で、うまく伝わっているのかどうかの心配は相当ありますが、更に、話を先に進めると、では、8月11日「100年後」の注釈で書いた、僕が理想としている「用途混合型の都市」と*10「職住近接」型の都市としてのマンハッタンや未来の東京は結局、一致するのではないか、という考えも浮上してきます。「都市成長境界線」を計画的に(積極的に)引かなくとも、それが自生的に(消極的に)引かれるのであれば、結果的に同じことではないか、ということです。そもそも僕は「都市成長境界線」を引くという行為の「排他」的な性質に対して、ずっと躊躇し続けているのだから、願ったり叶ったりではないか、とも言えなくもありません…

が、この話は長くなるので、また改めて書きます(泣)。

Σ(・ω・ノ)ノ

じつは、この先の説明には「都市経済学」を使うのです。今日書こうと思ってたのですが、「都市経済学」について結構忘れていて(僕は「経済学」が苦手です、サーセンすいませんw)、次回までに復習しておきます(笑)。*11

大雑把に言うと、先週の11月2日「マンハッタンのゆくえ(前)」で書いた、「原因と結果の悪循環」が起きる、ということです。アメリカの(風刺)漫画で例えると、こんな感じかな(下図)、うーん。

さて、あとは、先週の11月2日「マンハッタンのゆくえ(前)」で、今回は、都市の未来や僕たちの理想や希望の話を書く、とも書きましたが、それは、少なくとも、この記事の冒頭に「世界が慌ただしく動いている」と書いたこととは真逆の、時代の荒波に流されないように、安定へ向かわせる何かであるとは言えるでしょう。要するに、いわゆる「神の見えざる手」に庇護されている範囲は割と限られている、ということです。*12

と言っても、僕は「経済学」は苦手ですけどね(笑)。次回は「都市経済学」か都市社会学者のリチャード・フロリダについて書きます(予定)。または、その辺りの僕の専門外の話をします。ちゃんと復習しないと。「理想や希望の話」は継続して、これからも書きます、以上です。

(*・ω・)ノシ

*1:Guide to Shopping参照。「ドバイモール」の床面積の約110万平方メートルは「イオンレイクタウン」の約5倍の広さです。ちなみに、「ドバイモール」も駅前に立地している、一応。

*2:9月27日「モーション・タイポグラフィ」参照(「三越が池袋などの4店舗閉鎖へ」のニュース)。

*3:8月10日「柏」参照(「パリに高層ビル林立?高さ規制解除へ」のニュース)。

*4:http://www.unitednude.com/index.php

*5:ちなみに、この記事の、レム・D・コールハースなる人物は、建築家のレム・コールハースの甥です。

*6:日本参照(「建築でできた街」)。

*7:ニュー摩天楼-1ニュー摩天楼-2参照。

*8:10月2日「別世界性」参照。カラトラバは、シカゴに建設中の超高層ビル、「シカゴ・スパイア」の設計者。

*9:補足すると、これは、マンハッタンが「職住近接」型の都市になった理由と、東京に都心マンション(高層マンション)が建つ理由は同じではないということも説明している。それから、極端に言えば、8月27日「どこでもドア」で書いたように、都市は(交通)工学的に閉じている、絶対的に有限(「都市成長境界線」がある)であり、無限に成長し続けるということはあり得ない。

*10:Integral Project-1参照(用途混合型の都市)。

*11:Natural World-4(の補足)の6参照(「経済」とル・コルビュジエ)。

*12:8月5日「イケア」の注釈2参照(都市と自由放任主義)。

マンハッタンのゆくえ (前)

都心の高層マンション、うーん。*1

10月19日「イオンレイクタウン-2」の末尾に書いた「イオンレイクタウン」の「ミクロ」の話について忘れずに書かないとな、と思ったけど、たまには「都市」とも「建築」とも関係のないささやかな日常の話でも書こうかな、と思ったけど、それよりも最近の「ドバイ」の奇抜な高層建築のデザインについて書いたほうが「建築」への関心をより多くの方々にもってもらえるのではないかな、 と思ったけど、それよりも最近の僕がはまっている宇宙の「スペースコロニー」には「シリンダー型」と「球型」と「トーラス型」があるということについて書こうかな、と思ったけど、前回の10月26日「イオンレイクタウン-3」で取り上げた「職住近接」についての補足説明を今日はします。

これは、10月19日「イオンレイクタウン-2」で書いた「歴史」認識の問題と多少、関係している話でもあると思います。

とりあえず、長文になりそうなので、肝心なところを先に書いて、後日、また付け足します。

....〆(・ω・。) メモメモ。

では始めます。巷では(とくに建築の世界では)「職住近接」型の都市の良い事例として、よく「ニューヨーク」*2の名前が挙げられます。例えば、カタカタ……あれ?目当ての(「森ビル」の)ページが見つからない(号泣)。代わりに、少し古めの記事だけど、これ(下記)かな。

東京再生はなるか−六本木ヒルズ・森ビルの挑戦(2001年)

東京は過去、様々な都市を模倣してきた。江戸時代では、大阪を意識し、明治・大正時代はパリを、第2次大戦後はロンドンを模倣してきた。そして今、森稔社長*3はマンハッタンを模倣し、六本木ヒルズ計画を進めている。

一応、マンハッタンはニューヨーク市の区の一つです。この記事には「六本木ヒルズは、ハード面からの『職住近接』を実現する」とも書かれてます。でも、8月27日「どこでもドア」の注釈3に貼った「Mixed-use development」のウィキペディアには、マンハッタンは非典型的(atypical case)であると書かれてます。

では問題です、ニューヨークはなぜ「職住近接」型の都市になったのか、これを(興味がある方は)ちょっと考えてみてください。これは、10月19日「イオンレイクタウン-2」で書いた「歴史」認識の問題と関係しているような気がします。なぜなら、都市計画学では、おそらく誰でも答えることができるからです。都市計画学の「ある有名な本」にその答えが書かれてます。

その一方、建築学で有名なニューヨークの本と言えば今はあれですね、レム・コールハース「錯乱のニューヨーク」です*4。大雑把に言えば、都市計画学と建築学では、読む本が違うということです。

(一応、「錯乱のニューヨーク」はフィクションの物語です。建築学生の方々のブログをチラ見すると、その辺りのリアルとフィクションの区別がないような気がしなくもない。でも、突き詰めれば、正しい歴史なんてものはないとも言えるから、まあ、別にそれで構わないかも)

あと、この記事は、10月26日「イオンレイクタウン-3」で書いた、都市(都市圏)の捉え方の違い、「スタティック」と「ダイナミック」の違いの話にも接続できるでしょう。これは、babyismのIntegral Project-1で書いた「一重」と「二重」の違いの話でもあるけど、上記のような「マンハッタンを模倣」するという姿勢は、マンハッタンを「スタティック」に、「一重」的に捉えるような姿勢ではないかと僕には思えます。

以上です、

では問題の答え。都市計画学の「ある有名な本」は、クラレンス・ペリーの「近隣住区論」です。そしてマンハッタンが非典型的な「職住近接」型の都市になった理由の記述はこの辺り(下記)です。*5

シカゴ市*6ニューヨーク市の成長の現象に顕著な類似性があることを示すのに、いろいろな他の性格も引き合いに出される。両者の根本的な類似点は進行していく過程を理解しやすくしてくれるので、われわれにとって重要な意味がある。それらは、また重要なきわだった相違を浮き彫りにしている。イリノイ大都市圏では、居住地区の発展方向は、中央から外の方へ向いている。ニューヨークでも同じ方向を示していたし、現在(引用者注・現在とは1920年代のこと)も示しているが、同時に富裕な人は相反する方向、つまり中央へ向かって彼らの住居を移す顕著な傾向がある。

上流階級の居住地の発展方向が、内に向かう傾向にある理由は、ニューヨークに特有のものである。それらは、水に囲まれたところに住んでいる人々に作用している二つの新しい現象、すなわち自動車と摩天楼が指摘されるであろう。ニューヨークの街路システムは、もちろん、自動車と摩天楼が現れる以前につくられたものである。自動車は主要道路を通って動く人の数を大幅に増やし、摩天楼は、それらを使用する人々をおびただしく増加してきている。公共の輸送システムは道路上や高架や、地下に設置されてきたが、それらは、増加する交通量に追いつけなくなってしまった。実際、地下鉄は、そのルートに沿って高層建築物の建設を促進してきた。そして、このようにつくられた新しい目的地が、次に地下鉄を窮地に陥れることになり、原因と結果の悪循環が起こる。

マンハッタンの街路を通って移動する際に、経験する不快さや不便さが増加することによって、市民たちを職場の近くに住めるようにするという近代的都市計画の根本的な目標の一つが、新しく強調されるようになった。現在、ウォール街の銀行家、あるいは株式仲買人にとって、家がマンハッタンの中にある場合、事務所へ通う方法は、退屈な、時間を無駄にする自動車によるか、より一層不快な混んだ地下鉄を利用する以外には全くない。彼は職場の近くに住む方法をかつてなかったほど必要としている。

この必要性は、明らかに、高級な不動産開発に新しい方向を与えはじめた。

「近隣住区論―新しいコミュニティ計画のために」クラレンス・ペリー、1929年)

要するにこれは、マンハッタンの「職住近接」は消極的な理由によって生成したということです。または、babyismのIntegral Project-3の4で、道路渋滞の都市モデル化は諦めたと書いてしまいましたが、このような交通渋滞が、マンハッタンの「職住近接」化において、重要な役割を果たしていたということです。これは、コールハースがマンハッタンの「過密」は無意識と欲望によって生まれたとした見方とは正反対なのかも知れません。

(繰り返すけど、もちろん、これはどちらが正しいかという問題ではないです。むしろ、「歴史」認識が複数あるということを見晴らせる視座の獲得へ向けて、解放したほうが良いと僕は思ってます)

でも今日はここまで。

σ(・ω・*) 強制終了。

次回は、上記の「原因と結果の悪循環」から書く予定です。ちなみに、この「はてな」日記のタイトルの「用心シロ!…」はこの意味です。*7

他には、「職住近接」型の都市と僕の都市理論との関係や、都市の未来や僕たちの理想や希望とか、まだ未整理ではあるけど、その辺の話まで、派手に広げられたら、と思ってます。うーん。

一体どんな理想を描いたらいい?
どんな希望を抱き進んだらいい?
答えようもないその問いかけは
日常に葬られてく

Mr.Children、HANABI)

(リンクが切れていたらここ

*1:独立型キッチンMaterial World-5For Tomorrow10月26日「イオンレイクタウン-3」参照(都心の高層マンションについて)。

*2:Flamboyant(ニューヨークの歴史)とIntegral Project-3参照(この記事にニューヨーク関連のリンクを貼ってある)。

*3:Material World-2参照。

*4:8月30日「スロー雷雨」9月3日「抹消された『渋谷』」10月2日「別世界性」参照(コールハースについて)。

*5:Natural World-2Airplane House参照(「近隣住区論」について)。クラレンス・ペリーは「近隣住区論」のアイデアを郊外の住宅地だけではなく、マンハッタンに適用する方法も提案している。

*6:Material World-2TRANSPARENCY参照(シカゴについて)。

*7:8月2日「アウトレットモール」参照。

イオンレイクタウン-3

これ忘れてた。

高島屋:新館がオープン 年間売り上げ80億目指し−−柏駅西口 /千葉
毎日新聞、2008年10月2日)

「柏高島屋ステーションモール新館」が1日、JR柏駅西口にオープン。(中略)既存の高島屋3館を含む計4館の総面積は約5万平方メートルで、駅直結型ショッピングセンターとしては常磐線東武野田線沿線で最大級だ。

(中略)柏市内では約2年前、郊外型の大型ショッピングセンターやつくばエクスプレス(TX)駅前の大型店*1が相次いでオープン。今後、競争激化が予想される(後略)。

8月13日「柏 マイ・ラブ」の末尾にこれ書いたのを忘れてました。柏駅前の二子玉川化が完了した模様です。

うーん。柏はもっとスポーティ(sporty)なデザインのほうが似合うような気がする。*2

こういうガラス張りのデザインは「透明」(景色から消える)で「ニュートラル」(中立的)であるとか言われるけど、ここまで(柏の)環境から浮いてしまってるケースは今までにはあまりなかったような気がします。ガラス張りそれ自体が確立された一つの「様式」にも見えます。でも、まあ、こうやって「様式」が次々と上書き(overwrite)されていくことも、都市の魅力なのかも知れません。

ところで、プランを見ると、「柏高島屋ステーションモール新館」の2階が全て「駐輪場」になっています。多くの町や都市の駅前では「駐輪場」のスペースの不足が問題となっていますが、これは、その問題を積極的に「建築」に取り入れることで、来店客の増加につなげようという作戦なのかも知れません。*3

この「駐輪場」の問題は、僕は面白いと思います。駐「車」場の問題は、babyismのIntegral Project-3で、アメリカの都市を例に少し書きましたが、日本の駅前の、あの雑然とした「駐輪場」をどうするか、どう「建築」で解決できるのかを探ってみる…と言いたいところなのですが、先月、ネットでこれ(下記)を見たときの衝撃をすぐに思い出しました。

「建築」ではなく、「工学」で解決されたらしい。*4

異常に近未来な平井駅の駐輪場(動画)
(ギズモード・ジャパン、2008年9月11日)
駅前の限られた面積の中で自転車をたくさん収納する必要がある東京の駐輪場は、外国の方から見ると脅威の独自進化を遂げつつあるようです。

Σ(- -ノ)ノ

都内では既にそこそこ普及しているらしい(YouTube)。今度、注意して駅前を見て歩こう。まあ、YouTubeを見ると、日本の(日本人には見慣れた)「機械式(立体式)駐車場」でも外国人には衝撃的であるらしい(笑)。日本の「カプセルホテル」に感動するような、そんな感覚かな。*5

自転車については、いずれまた書きます。とりあえず、先週の10月19日「イオンレイクタウン-2」で引用した「地球温暖化対策とまちづくりに関する検討会」の報告書によると、「移動距離が300mから5kmの間は、(中略)他の交通機関に比べて自転車に比較優位がある」らしい(下図)。*6

では、本題。

先週、「イオンレイクタウンに行ってきましたー♪」みたいなブログ(ウェブ日記)を見て回った。

これは面白い。買った商品をデジカメで撮影してブログに載せていたり、店内についてかなり詳細にレポートしていたり、でも、こういうブログはイオンの人は絶対、チェックしている気がする。いわゆる「お客さんの声」がダイレクトに返ってくる(しかも勝手に書いてくれる)なんて、企業にとっては良い情報だし、もちろん「お客さん」の側にも、それなりにメリットのあることだと思います。

あと、「イオンレイクタウン」での滞在時間が「4時間半」という人がなぜか多くて、ちょっと笑った(笑)。これが人間の体力の限界なのでしょう。

あと、東京でアパレル関係の仕事をされているという方が、この「イオンレイクタウン」を訪れてみて、「東京全体が空洞化してしまいそうな恐怖感を持った一日だった」と感想を書かれていたのですが、その予感は本物です(笑)。正解です。前回の10月19日「イオンレイクタウン-2」で、「ここから『東京』(東京圏)の未来を予測することは可能です」とまで僕は書きましたが、それが「東京」の未来です。

僕のその予測は、9月25日「蘇生」で書いた(いや、ほとんど書いてないw)「都心流入率」の都市モデルの計算(「効率性」の原理)にも基づいていますが、それは別としても、統計を見ると、実際に東京の「都心流入率」は減少し続けていることはすぐ分かります。また、それはbabyismのEdge City(エッジシティ)で書いた、アメリカにおける都市の変化とも似ています。

ジョエル・ガロー(Joel Garreau)は、91年に「エッジシティ」という本で、戦後のスプロール現象を三期に分けて説明した。*7

  1. 住宅の郊外化(Suburbanization)
  2. 商店の郊外化(Malling of America)
  3. 職場の郊外化(Edge City)

それから、babyismの美しい景観-4で、「東京のオフィスワーカーは減少傾向にある」と書いた後に、「東京は、いまだ知られてない(都市の)利用のされ方へ向かっているのかも知れない」と、ポジティブに、新しい都市・東京の未知なる可能性を僕は期待していたのですが、現状を見ると、東京には高層マンション(都心マンション)が並び建つというだけの、「つまらない」結論へと至りそうで、これは残念です。

巷では(とくに建築の世界では)、都心マンションは「職住近接」の理念が実現されているので好ましいと見なされている方が多いですが、僕はそれはないと思います。僕の考えでは、僕の理論モデル(仮説)が正しいならば、都心マンションはbabyismのIntegral Project-2で書いた「都心の郊外化」です。更に、あえて分かりやすく言うと、都心マンションは「都心のベッドタウン化」、「都心のニュータウン化」です。

8月22日「ファスト新宿」では僕は、「都心」対「郊外」という二元的な図式はじつはあまり意味がない、と書きましたが、それと同様に、都心マンションが「職住近接」であるということにもあまり意味がないのです。

でも、この辺の話は、9月25日「蘇生」でも書いたけど、語学力の足らなさもあって、なかなかうまく(分かりやすく)書ける気がしない(笑)。

大雑把に書くと、都市(都市圏)を「区域」に分割して、それぞれの区域を個別にスタティック(static)に捉えるのではなく、都市(都市圏)全体を一つの「磁場」や「ベクトル場」として、ダイナミック(dynamic)に一挙に捉えなければならない。そして、この視点を獲得する手段が、「仮説」としての都市の理論なのだということです。*8

以上です、

ん?

いや、違う、あれ?「イオンレイクタウン」の話はどこへ行った?

Σ(- -ノ)ノ 

また今度書きます、今日はおしまい(笑)。

(追記)
要するに、「イオンレイクタウン」と「都心マンション」は連動しているということです。うん、これで話がきれいにまとまった。

*1:8月20日「柏の葉から考える」参照(「ららぽーと柏の葉」について)。

*2:柏(千葉県柏市)は僕の地元(故郷)。8月17日「柏から考える」参照。

*3:ひょっとしたら「柏市」が「高島屋」に要請したのかも知れない。いや、改築前から2階の全てが「駐輪場」だったかも、あれー?記憶がない。(追加:調べたら、ここは元々は銀行だった。「改築」ではなく「新築」)

*4:http://www.jfe-kansol.co.jp/sangyo/toshi/cycle/01.html

*5:8月22日「ファスト新宿」に貼った、ザ・キラーズの「Read My Mind」のPVに「カプセルホテル」が出てくる。ガチャピンは不明。

*6:Polyrhythm参照(「自転車」について)。ちなみに、「イオンレイクタウン」の「駐輪場」の台数は6,200台です。

*7:正直言うと、その英語の本は僕は読んでいない。「サステイナブル・コミュニティ―持続可能な都市のあり方を求めて」(川村健一、小門裕幸著)にその本についての詳しい解説がある。コンパクトで読みやすい、とても良い本です。

*8:Integral Project-1参照(「ベクトル場」と「仮説」について)。

イオンレイクタウン-2

「ポスト消費社会のゆくえ」(辻井喬と上野千鶴子の対談)*1を先週、タイトル買い(表紙だけ見て買った)して読んだのだけど、何なのですか、これは。

ひどいですよ、ただの爺と婆の回想録ですよ。最後の章で、辻井喬は「百貨店の時代はもう終わった」と言い、上野千鶴子「レギュラシオン理論」という用語だけを挙げて、それで終わってるだけの本でした。「ポスト」も「ゆくえ」も全然関係なく、その2語だけを見て買った僕は、というか、そういう安易にタイトル買いするような間抜けな客を狙ったのか。

ヽ(`Д´)ノ くそー。

でも、最近の言論や批評はそんなのばかりかも知れない*2。いわゆる「future pull」(未来からの発想*3)の視野を欠いたまま、「present push」(現在からの発想)に終始しているだけの論客が多いです。

ところで、建築評論家の五十嵐太郎のページ(10月6日)によると、「近現代建築史」(五十嵐太郎著?編?、市ケ谷出版社)*4という本が出版されるそうです。これは早目に予約しよう、そしてあえて批判的にじっくり読み込んでみようと思ってます。なぜなら最近(というか半年前くらいから)、いわゆる建築学、都市計画学、社会学のそれぞれが、同じ「歴史」(都市史)を共有してないように思えるからです。

もちろん、同じである必然性は別にないのだけど、それぞれの「歴史」認識の違いがじつはそれぞれのジャンルを隔つ厚い壁となっている、ジャンル間の横断や結合を阻害しているのではないかと思えるような言説を目にする機会が増えたような気がしてなりません。これはあまり好ましいことではないと思います。それは「全体性の消失」(宮台真司)ポストモダンの「小さな物語」がどうのこうのという話かも知れないけど、何かが「やばい」のではないか、と僕のアンテナがどうしてもピピッと反応してしまいます。

それは誤作動(たまにあるw)かも知れませんが、そんな意味で、とりあえず、「近現代建築史」をあえて批判的に読んでみようと思ってます。本音では楽しみなのですけどね。

さて、書かねばならぬことはたくさんあるけど、適当に書きながら考えます。

イオン、閉鎖店舗60程度に 従来計画の5割増
朝日新聞、2008年10月7日)

小売り大手イオンは6日、主力の総合スーパーの08〜09年度の閉鎖店舗数を、従来の計画より5割増しの60店規模に拡大する方針を固めた。(中略)売り上げの回復が見込めない東北や西日本の「ジャスコ」「サティ」が対象となる見込みだ。

(中略)イオンは、総合スーパーや郊外型ショッピングセンター(SC)の全国展開を原動力に成長してきたが、今春には拡大路線を見直し、7月には総合スーパー40店の閉鎖計画を公表。

(中略)イオン幹部は「これまでの出店ペースは速すぎた」と見込み違いを認めた。不振が長引けば、追加の閉店や食品のみを扱うスーパーへの転換が必要となる可能性もある。

閉鎖する店はほぼ決まっているが、公表は地元との交渉が済んだ順に進める。売り場面積が5千〜6千平方メートルの中規模店で、老朽化が進み、顧客層に合う品ぞろえが不十分な店などが対象になる。

先週の10月13日「イオンレイクタウン」では、駅前に立地しているショッピングモール(「イオンレイクタウン」、「ラゾーナ川崎プラザ」等)を、都市の新しい動きとして書きましたが、ここから更に抽象(ズームアウト)してみると、先週、書いたこととは異なる、別の視点が現れます。

僕は、僕の本家のbabyismのブログから(特にIntegral Project-3がそうなのですが)、都市での交通手段を「鉄道」と「自動車」に分けてずっと考えていたのですが、その両者を包めて、より大まか(マクロ)に国土全体を見渡してみると、先週の10月13日「イオンレイクタウン」で「不思議な(都市の)現象です」と書いたことの答えを知る手がかりを見ることができます。

と言っても、僕が自力で計算したわけではなくて、この図です(下図)。

「都市圏人口当たりの小売売場面積」と「小売商業坪効率」の相関図です。

とりあえず、babyismのGuide to Shoppingで書いた(僕が計算した)「東京0.9平方メートル」と同じ値でほっとした、という話はどうでもよくて、この図から分かることは、グラフが大まかに右下がりになっている、つまり、「都市圏人口当たりの小売売場面積」の値が大きいほど「小売商業坪効率」が低下するということです。

この図が添付されていた報告書*5では、この図から、地方の都市圏では「商業床面積の過剰が起きている」と結論付けています。小売売場面積が増えれば増えるほど、収益(商業効率)が下がっている、つまり、過当競争が起きているからです。

これが都市の大まか(マクロ)な視点です。要するに、「過剰」であるということです。これは、イオンが地方の「ジャスコ」を大量閉店(60店規模)する理由の説明にもなるでしょう。

では、ここで問題。次にイオンはどこに出店する(出店しようとする)でしょうか、これを(興味がある方は)少し考えてみてください。まあ、答えは簡単ですね、それは「商業床面積の過剰」が起きていない場所、すなわち、「東京」をはじめとする大都市圏です。要するに、それが「イオンレイクタウン」なのです。

これが「不思議な(都市の)現象」の背景だと思います。ここから「東京」(東京圏)の未来を予測することは可能です。でも、最近のあんなニュースやこんなニュースのことを考えると、必ずしも市場主義的な未来へはもう進まないのかも知れません。

まあ、景気対策として、国民の借金を更に増やして、公共事業をやるなら、いずれその借金を負担させられる今の子供たちのためのインフラや施設を優先的に整備すべきだと思います。それは、日本の国家としてのモラルを守るための、唯一かつ最低限の配慮ではないかなと僕は思います。柄にもないけど。*6

以上、「イオンレイクタウン」についてはまた書きます。「マクロ」ときたら、次は「ミクロ」かな(笑)。

*1:辻井喬」は、セゾングループの実質的オーナー、堤清二ペンネーム。

*2:9月25日「蘇生」参照。

*3:Prairie Houseに書いたハワード著「明日の田園都市」の表紙裏のローウェルの詩、参照。

*4:「現代建築に関する16章」(五十嵐太郎著)は良い本です。World of Tomorrow参照。

*5:「地球温暖化対策とまちづくりに関する検討会」報告書(環境省、2007年)より。

*6:公共事業の提案で、僕の頭程度で考え付くようなことといえば、例えば、babyismのIntegral Project-3で提案した「トランジットシティ」とかその辺か。他には、表記-9で書いたような、日本の「林業」の再生か。これは、中・長期的な視野に立った、地方の都市・産業の基盤(もしくは「社会的共通資本」)の整備のあり方を考える良い機会なのかも知れません。