マンハッタン計画

長崎は今日、63回目の原爆の日を迎えた。

http://ja.wikipedia.org/wiki/マンハッタン計画
マンハッタン計画とは、第二次世界大戦中、枢軸国の原爆開発に焦ったアメリカが原子爆弾開発・製造のために、亡命ユダヤ人を中心として科学者、技術者を総動員した国家計画である。計画は成功し、原子爆弾が製造され、1945年7月16日世界で初めて原爆実験を実施した。さらに、広島に同年8月6日・長崎に8月9日に投下、合計数十万人が犠牲になり、また戦争後の冷戦構造を生み出すきっかけともなった。


長崎での爆破の瞬間をとらえた写真。前景にいる3人は、何かが起きたことにまだ気がついていない。長崎への原爆投下は広島への投下の3日後のことで、これで日本は降伏に追い込まれ、第2次世界大戦は終わった。

恐ろしいです。
長崎で平和を願い、戦争の反対を掲げている人々の涙に応えて、私たちの世代もまた、それを次の世代へ繋げていく必要があるということは本当によく分かります。また、同じような悲劇を二度と繰り返さないために、多くの国民を死へ導いただけの、無謀な戦争へ駆り立てた人々を、今でも断罪しようとする人々がいることの大切さも分かります。

だから、とある建築家と建築評論家が、皇居から「天皇」を追放して、そこに巨大美術館をつくるという壮大なアイデアを提起している*1理由も分かります。でも、無謀な戦争へ突入した原因は、天皇にあったというよりも、むしろ軍閥と、軍閥と結託した「大企業」(財閥)であったという事実を、彼らが知らないわけがありません。それなのに、「天皇」のみを批判対象としているのは、あまりにもご都合主義的すぎるような気がします。

天皇」が日本国民を結集させた「精神的支柱」として働いたことを批判するのはいいとしても、そこに美術館を置こうとする発想は、結局は美術品を日本人の「精神的支柱」にしなさいと言いたいだけではないか、とさえ思ってしまいます。いっそのこと、皇居を水没させて、湖にしてしまったほうがきれいです。調整池にもなって洪水防止になるし、都心のヒートアイランド対策にもなる*2。そして、湖面にソーラーパネルを浮かべれば、風雅な趣まで生まれる・・
(*´ー`)
いずれにせよ、「科学」にはいろいろある。そして、その使い方を握っているのは、いまさらでもないけど、私たち「人間」です。

浅田彰のドタバタ日記(2008年6月26日)
昭和天皇南方熊楠のような博物学者とも接触のあった生物学者であり、(中略)戦争の後、昭和天皇は皇居の森をできるだけ手つかずの自然に帰すことにする。平成天皇もその方針を受け継ぎ、吹上の森の定期的公開(限定されたものだが)も始めている。こうして、かつて江戸城などの大名庭園だった場所は、鬱蒼たる雑木林*3に回帰しつつあるのだ。世界最大のメトロポリスのひとつである東京の中心が、最終的に、南方熊楠のいた熊野の森のような自然に帰っていく……。これはほとんどJ・G・バラード的な反都市のヴィジョンと言えるのではないか。(中略)少なくとも、それは「皇居美術館」構想などよりはるかにラディカルなものであると私は思う。

*1:問題提起をする。皇居の存在を自明なものとせず、社会に問いかける、皇居に関する議論のきっかけをつくる。

*2:これは確かな情報はない。湖にしても、効果はないかも知れない。何となく。

*3:僕の本家ブログ「babyism」の「日本」参照。