どこでもドア

最近、生活のリズムが乱れてる・・でも、これは自業自得ですね。先週、怠けてたツケが回ってきてるだけで、プラスマイナスすると総量は変わらない。まあ、夏休みの終了間際に連日徹夜したからといって、一生懸命がんばったことにはならないのと同じです。

そういえば、北京オリンピックは開会式しか見てないような気がする。いつの間にか終わっていて驚いた。テニスは見たかった。

さて、先週の「ファスト新宿」の記事つくばエクスプレスの動画について…あれ、何を書こうとしてたんだ?とりあえず、変なアイデアは浮かんだのだけど、日が経って、今振り返ってみると、やや馬鹿げているようにも思えてくる。

まあ、そのアイデアとは、つくばエクスプレスドラえもんの「どこでもドア」*1と対比させてみると両者で何が異なっているのだろうかという未来(=フィクション)型パースペクティブの可能性で、そこからさらに「どこでもドア」が発明された後の世界(≒空間)をあれこれ考えてると、仕事の作業がますます進まなくなった…「どこでもドア」より「コピーロボット」のほうが欲しいっす、という話はどうでもよくて、つまり、僕の本家のブログ「babyism」の「Integral Project-3」の記事で〜

〜と書いたことと、きれいに接続できるような気がするのです。すなわち、「どこでもドア」が情報空間と都市空間の「乖離」をなくす、「どこでもドア」がないので都市空間が「ローテク」に見える、情報空間は「どこでもドア」のある都市空間の練習場である、等々、ということです。

もちろん「どこでもドア」なんて絶対につくれないと思いますけどね。ただ、つくばエクスプレスの動画を見て、人間の都市工学的な欲望は、最終的には「どこでもドア」へ向かっているのではないかなぁと思いました。

いずれにせよ、思考実験での「どこでもドア」は、距離が消失する先を抽象した空間の一つの雛形、すなわち、ゼロ・ポイント*2のようなものになりうると思います。さらに、「どこでもドア」を想定することで、私たちの(交通)工学的環境は閉じている、有限であるということを確認することもできます。大切なのは、この有限世界の内側での私たち人間の「無限」に属する性質なのであって、今世紀における都市計画は、片方では「どこでもドア」を目指しつつも、もう片方ではそれとは別の何かを含んだものになるのではないかと考えます。

その別の何かの手法の可能性の一つとして、用途混合型の都市を僕は考え続けているのです。*3

(`・ω・')

「どこでもドア」の他に、冒頭のつくばエクスプレスの動画東急田園都市線の動画*4と対比させてみてもいいかも知れません。それから、TX柏の葉キャンパス駅JR柏駅のそれぞれ駅前の写真を対比させてみるのもいいかも。うーん、もっといろいろ書こうと思ってたけど、今日はこの辺で。でも、今日書いた文を読み返してみると、何か内容をぎゅうぎゅうに詰めたみたいな文章でかなり読みにくい、あちゃあ。

(´;ω;`)

*1:100年後参照。

*2:幾何学の起源」の序説、ジャック・デリダ

*3:問題は、これに理論的な「担保」がないということ。とりあえず、「用途混合」に関してはウィキペディアの「Mixed-use development」の「Benefits」と「Drawbacks」を軽く一読してみてください。英語だけど、とてもコンパクトにまとまっている。余談ですが、その「Drawbacks」に書かれているようなことを言及した日本語の文章を僕は一度もみたことがありません。それはそれで問題があるのではないかと思う。

*4:東急田園都市線長津田-中央林間の動画もあった。いまさらでもないけど、田園都市線の「田園都市」の名前はエベネザー・ハワードの「明日の田園都市」に由来する。一応、僕の本家のブログ「babyism」では、「田園都市」を「庭園都市」と書いています。元の英語の「Garden City」の「Garden」を何で「田園」と訳したのかは分からない、「庭園」と訳したほうが人工的なニュアンスがあって、ハワードのコンセプトとも当然合致する。

ファスト新宿

頭がぼーとしている、というか仕事が忙しい、というか仕事の効率が落ちていて同じ作業でも夏休み前の3倍くらいかかっているような、体たらくな状態です。

(´・ω・`)

今は前回の「柏の葉から考える」の記事に貼ったつくばエクスプレスの動画をまたぼーと見ながら、これって何なんだ?これはどういうことなんだ?とおぼろげに考えている(いや、まるで考えてない?)ような状態で、でも、まあ、とりあえずエベネザー・ハワードの「明日の田園都市*1とかは一旦きれいに忘れてみようとは思ってます。*2

うーん。

そういえば以前、僕の本家ブログ「babyism」の「郊外の景色-2」の記事に〜

〜と書いたけど、それを典型的に表す動画があります。

ファスト風土ならぬ、「ファスト新宿」の動画です。

(リンクが切れていたらここ

ここから、がんばれば、もっともらしい評論が書ける気はするけど、とりあえず、都心のオフィスビルの「高層化」と都心周辺の「郊外化」は同時期に起きたのだ、ということです。つまり、よく知られている「都心」対「郊外」という二元的な図式はじつはあまり意味がなくて、むしろ、「古い東京(洋館と工場と木造賃貸住宅)」対「新しい東京(都心の高層オフィスビルと郊外)」という図式のほうがしっくりくるだろう、ということです。
そして、この図式に新たに「高層マンション(タワーマンション)」が加わったこと*3によって、この図式が三つ巴的にややこしくなっているのが現在(ゼロ年代)だと僕は考えます。つまり、これを「効率性」をベースとした僕の都市理論*4から説明すると・・なんて、今は頭がぼーとしすぎてて無理(笑)。

Σ(・ω・ノ)ノ

上の新宿の動画を見て、高橋信雄というCGアーティストがつくった「Japan」という映像作品を思い出した。

うーん、脳やばい。

ところで、「新宿」といえば、ザ・キラーズ(The Killers)*5の「Read My Mind」かな。

これは名曲です。しかし、何でガチャピン

(リンクが切れていたらここ

*1:Integral Project-3参照。

*2:その動画の40秒頃に通過する駅がTX柏の葉キャンパス駅です。2分20秒頃に現れる川(鉄橋)は利根川です(X参照)。

*3:それを可能にした背景には免震構造などの建築工学の進歩がある。Material World-5参照(高層マンションの歴史)。

*4:本ブログ8月13日「柏 マイ・ラブ」参照。

*5:本ブログ8月7日「骨」参照。一応、上の「Read My Mind」のプロモーションビデオには新宿以外も含まれている。東京の都心で撮影。ザ・キラーズは世界的ブレイクを果たしたロック・バンドでアメリカ・ラスベガス出身。ラスベガス-1ラスベガス-2参照。

柏の葉から考える

*1

頭がシャキッとしない。

前回の「柏から考える」の記事で、次回は「悪夢の飲み会」編と書いたから、これを書こうと今ログインしたのだけど、でも、この話はちょっとやばい気がしている。ブログ禁止用語スレスレ?、まてよまてよまてよ、ブログに書いていいことの閾値しきい値)はどの辺なのだろうか。

飲み会そのものは集まりが悪く、そして、2次会でいつもの幼馴染みの友人*2とほぼ二人っきりで語り合ったときのディープな話を書こうとしてたのだけど、まあ要するに、つくばエクスプレス(TX)のTX柏の葉キャンパス駅の周りの土地を一社(デベロッパー)が独占している、駅を完全に包囲してしまっている、それでいいのか、公共性、公共空間はどこにあるのか、と僕が彼に話しかけたわけです。

例えば、この駅前には、同社が所有する大型商業施設(ららぽーと柏の葉*3)があるのですが、この商業施設はよほどのことがない限り、駅からもっとも近い、利便性の優れた商業施設であり続けるわけです。なぜなら、駅前には競合する店が入り込める土地がもうないから。それは、例えば、JR柏駅の駅前には複数の百貨店や商店が建ち並んで、互いに自由競争を行うという資本主義的状況とはまるで異なります。
つまり、資本主義が進化した先の高度資本主義的状況が、TX柏の葉キャンパス駅前で起きているのではないか。または、どうして公共性や公共空間を重んじる「左翼」的な人々は、この状況を黙認してしまうのだろうか。柏なんてしょせん「ファスト風土」なのだから、どうでもよいと考えているのだろうか。しかし、これは議論されなければならないのだ。

「これは土地の独占禁止法違反だよ」

「そんな法律はない」

Σ(゚д゚;) ←俺。

ここから僕は火が点いた、エスカレートした。この先はかなり危険地帯なので書かないけど(かなり酔ってたし)、最終的には、幼馴染みのその彼は、京都の「新景観条例*4を巡る攻防を例に挙げながら、「市民社会」と「経済」の両立の難しさについてを長々と僕に説明していたように記憶している。要するに、京都でもこれだけ大変だったのに「ファスト風土」なんか問題外だということです。

完全に論破されてしまいました。(´;ω;`) くそぉ。

でも、うーん、とりあえず、これが「悪夢」です。もう少しじっくりと考えてみる。

*1:http://www.mitsuifudosan.co.jp/project/kashiwanoha/index.html

*2:彼は弁護士の仕事している。本家ブログCoffee & TVSweet Dreamsにも登場。

*3:Integral Project-2参照。

*4:新景観条例は、中心市街地で最高45メートルを31メートルに引き下げるなど市内ほぼ全域での高さ規制強化やデザイン規制、世界遺産や山並みなどの眺望・借景の保全を定めたもの。2007年9月1日施行。定点観測参照。

柏から考える

実家から戻りました。

地元・柏の僕が育ったニュータウンの現在(ゼロ年代)について少し書く。

まず、木がでかい。街路樹がすごい、圧巻。大通りはまさに緑のトンネルで、ここはまるで(「風の谷のナウシカ」の)腐海に呑み込まれたみたいである。

「避暑地みたいでしょう」と母が僕に言った。確かにここは「ファスト風土」とはまるで無縁のような場所で、つくづく月日(時間)とはすごいものだと思った。それは樹齢(幹の太さ)によって、自然が正しくカウントする。ここは「ファスト風土」よりも避暑地の「軽井沢」とよく似ている。それは「郊外」の新しい景色。

実家の庭の一角の昔からある家庭菜園は相変わらず生い茂っている。今はキュウリが生っている。他にも、実がないと名前がわからない植物がたくさんあって、とにかく賑わっている。懐かしい空気と匂い。

そんな庭を眺めたあと、母に「スイカはないの?」と尋ねたら叱られた。そりゃあ、失礼な言い方だ。実家なので、つい甘えが出てしまった。でも、母が言うには、僕が子供の時にも、それと全く同じセリフを母に言ったらしい(まじで?)。その時の僕は、そのあと自分でスイカの苗を買ってきて、家庭菜園の一角に植えて、そして見事に失敗した・・ああ、思い出した、そうそう、スイカは受粉が難しい。そんな記憶、僕はずっと忘れてた。

(*´ー`)

「少し見てくる、自転車借りる」と言って僕は出かけた。木がすごすぎる*1。木の根っこのせいで、歩道の舗装が一部盛り上がってる。これは計画(植栽計画)ミスではないかとか、専門的思考を巡らせつつ*2ニュータウンの中心の商業地区へ行くと、スーパーマーケットは無くなっていて、その場所は戸建住宅6件になっていた。潰れた理由は、住人の多くがニュータウン外の競合店へ車で買物へ行ってしまったからなのだけど、この商業地区にはスーパーの代わり(?)にコンビニができていた。僕が生まれて初めてエロ本を買った本屋はまだあった(これは別にどうでもいい)。

商業地区の少しはずれには小さな集会場ができていた。母の話によると、ここはよく「お葬式」で使われているらしい*3。バス停の近くの空地だったところにはプレハブ2階建の若夫婦用の賃貸マンションができていた。これは「郊外」特有の「テーマパーク」的な元のニュータウンの景色とは異なる、もう一つの真正な「郊外」が、このニュータウン内に侵食し始めていることを意味しているのかも知れない。*4

それから、道路を挟んで向かい側の、ここも空地だったところ(ここは月極駐車場だったかも)に、三角屋根のある平屋の建築物ができていた。何だろうと思ってママチャリ漕いで行ってみると、そこはなんと「幼稚園」だった。

ああ、確かにニュータウンは問題が山積するところだけど、その一方で、世界は確実に「循環」している。僕は何か「勇気」をもらったような、そんな気がした。*5

続く。次回は「悪夢の飲み会」編!?


(記事追加、8月19日)Googleの「ストリートビュー」の写真でも貼ろうと思ったら、まだなかった。代わりに「航空写真」貼ります。それぞれの位置関係は大体こんなところです。あと、上の本文に少し誤りがあったので訂正してあります(戸建住宅6件→7件、集会場→自治会館、幼稚園→保育園)。まあ、田舎ですね、ここ。

*1:アメリカの住宅参照。アメリカでも時を経たニュータウンは森のように木々が生い茂る。横浜の「マイカ本牧本牧地区の再開発」では、小さな若木を嫌って、竣工時にすでに大木を植えていた(移植した)けど、そういう環境のほうが僕は人工的だと思う。

*2:じつは、このニュータウンは建築家・宮脇檀が設計した、ということを僕はニュータウンの仕事をするようになってから知った。このニュータウンは、かなりエポック・メーキングだったようで、この業界で仕事をしていると、ほとんどの人がここをよく知っていて、みな一度は訪れている。また、このニュータウンは「東京から考える」(NHKブックス)で描かれているような東京西部のニュータウンよりも新しい(時代が後)なので、計画の精度(または住宅地の「テーマパーク」度)が高いとも言える。

*3:ニュータウン内の「高齢化」は社会問題となっている。郊外の景色-3参照。

*4:このニュータウンは景観のデザインコードが厳しいところなので、それなりにデザインされた、アースカラーを基調とした賃貸マンションとなっていて、周りの景色とは馴染んでいた。グローバリゼーション(town)定点観測など参照。

*5:一応、ここまでは少しフィクション仕立てふうに書いている。時間を少し早回しにしている。前に帰省した時に、すでにスーパーマーケットは閉店していたので、念のため。

柏 マイ・ラブ

8月10日の「柏」の記事の続編。

柏 駅前商業に陰り 郊外大型店、TX開通で転機
東京新聞、2008年7月20日
商都・柏の中心として発展してきたJR・東武野田線柏駅周辺の商業が転機を迎えている。ここ数年、郊外への大型商業施設の進出や、つくばエクスプレス(TX)の開業で、客足に陰りが見えていたが、三月に柏駅周辺を対象とした中心市街地活性化基本計画がスタートした。(中略)駅前商業の新たな将来像を描く時期にきている。
柏駅周辺の発展の礎は、一九七三年に完成した再開発事業にさかのぼる。東口にダブルデッキが完成し、百貨店のそごう高島屋が相次いで開業、茨城県や埼玉県からも買い物客を集め、商圏人口は二百万人以上ともいわれる。
十年ほど前からは、イメージアップを狙って商工関係者が音楽イベントなどを企画、「若者のまち」をアピールしている。路地裏に集う古着店や雑貨店を指す「裏カシ」という言葉も生まれた。
しかし、数年前から状況は一変した。郊外に大型商業施設が相次いで完成すると、駅の乗降客や回遊する歩行者が減り、それに伴い小売販売額も減少した。
二〇〇五年には市北部にTXが開通。もともと研究機関が集中していた沿線の柏の葉地区では、「柏の葉国際キャンパスタウン構想」を掲げ、新たな町づくりが始まった。TX柏の葉キャンパス駅前には大型商業施設高層マンションが建設され、都心へのアクセスの良さも手伝って人口は急増中だ。
こうした状況に危機感を募らせた柏駅周辺の商工関係者は〇六年十一月、「柏市中心市街地活性化協議会」を設立。今年三月には市が策定した中心市街地活性化基本計画が国の認定を受け、五カ年計画がスタートした。
目玉は地上二十九階のタワーマンションや新中央図書館などが入る二つの複合施設を建設する再開発計画だ。老朽化したダブルデッキも補修する。
柏駅前通り商店街の小柳満雄理事長は「人の流れが変わるはず」と期待を寄せる(後略)。

柏市中心市街地活性化基本計画」はあれからまだ読んでいないけど(おいおい)、柏市はいろんな意味で日本の「典型的」な都市ではないかと思います。それゆえに、柏市について考えることが、他の多くの都市について考えることに(そのままではないにせよ)つながるのではないかと思います。
つまり、日本の多くの都市が柏市のように「ファスト風土」化(三浦展)、すなわち、画一化しているのであれば、柏市について考えることが、一挙に日本全体について考えることにつながるという可能性もある(セカイ系?)ということです。
でも、よく考えてみると、僕が「効率性」の公理から都市理論を創造してるのは、じつは僕が「ファスト風土」で育ったからかも知れない。「ファスト風土」とは、ほとんど「効率性」しかないような場所だからね。もし僕が京都とかの伝統的な街で育っていたら、このような都市観など抱くことはなかったかも知れない。
(・_・ヾ
8日にブログに書いた「北京オリンピック」の記事でのミスチル「ランニングハイ」の歌詞

亡霊が出るというお屋敷を キャタピラが踏み潰して
来春ごろにマンションに変わると代理人が告げる
また僕を育ててくれた景色が 呆気なく金になった
少しだけ感傷に浸った後 「まあ それもそうだなぁ」
Mr.Children、ランニングハイ)

(リンクが切れていたらここ
「babyism」の「僕を育ててくれた景色」にも書いたけど、こういう景色の中で育つと人の心は一体どうなるのだろう、僕を育ててくれた景色が次々に書き換えられていく環境から、僕は何を見い出し、何を記憶しているのだろう、「効率性」以外に。
ひょっとしたら、僕が「効率性」を掲げてるのは本当はただのチキンレースで、現在の都市を否定するために、現在の都市が金科玉条としている「効率性」への衝動よりも更に効率的な方法を創造することによって、精神的に“勝利”すなわち“復讐”がしたかったのではないか、とかまで考えが暴走した。*1
または、僕は殴られたのだからナイフで刺し返しても正当防衛だよ、という理屈にまみれたモラリティではないか、しょせん、僕はそんな男だろう。
まあ、こんなことはブログに書くほどのことでもないと思ってたけど、福嶋亮大*2という批評家のブログをみて、これは書いてしまおうと思った。

隔離された過去」(福嶋亮大、8月8日)
(前略)ぼくは自分のことを「ポスト戦後」世代なのだと思っています。要するに、戦後民主主義が積み立ててきた世界とは根本的に違う世界になってしまった、その変化を直に受けた世代なのだと思っています。そこでは、幼年期の自分と成人期の自分とが完全に切り離されている。かつて世界に対して抱いていた感覚と、いま世界に対して抱く感覚はまったく異なっている。というか、そもそも「異なっている」という比較の感覚を抱くことすら難しい。
むろん、それはあらゆる世代がそうなのだ、とたしなめられそうですが、たぶんそうでもない。たとえば、浦沢直樹の『20世紀少年』は、大阪万博の頃の少年時代の記憶にいわば“復讐”される物語です。しかし、そういう記憶の連続性すら、もはや担保されないのではないか。記憶で繋げることもできないほどに、世界は根本的に変わってしまった。記憶の連続性は外側から力ずくで千切られてしまい、もはやそれを修復することはできない。したがって、いまの新世界にどれだけ適合したとしても――あるいは逆にやり場のない「怒り」によってその新世界を破壊したとしても――、時空の果てに置き去りにされた過去の自分を取り戻すことはできない(後略)。

「記憶の連続性は外側から力ずくで千切られてしまい、もはやそれを修復することはできない」、その通りかも知れない。もはや僕たちは、現在を席巻する高度資本主義の波に乗るしかないというリアルな認識が、「効率性」を主眼とした都市理論の創造へ僕を駆り立てているのかも知れない*3。過去の記憶は、ハンディカメラで撮った映像の中にあれば十分だろう、と。いや、その映像の背景が素っ気ないコンクリート造の校舎であれ、華やかなディズニーランドであれ、幼い僕を見守る父の背中に、人としてあるべき何かを伝えているこのリアリティ――それは「記憶の連続性」の唯一の「担保」かも知れない――に、僕はもっと謙虚に学ぶべきなのかも知れない。

とりあえず、これから僕は夏休み(プチ旅行+帰省)です。しばらくブログの更新が止まるかも知れませんが、その頃僕は日本のどこかでゴロゴロしています。(´∀`)

あと、記事タイトル「柏 マイ・ラブ」は、柏市出身のロックバンド・爆風スランプの名曲、「KASHIWA マイ・ラブ〜ユーミンを聞きながら〜」のことです。この曲をYouTubeで探してみたけど、妙なバージョンのしかなかった。声が初音ミクか。


(リンクが切れていたらもうないよ、お早めに)

この曲の歌詞に出てくる地名、ダブルデッキ、東口の図書館、二番街、桜並木ぬけた公園(柏公園ね)は、どれも柏市民が知っている場所だったりする。東口の図書館はほんとによく通っていましたよ。それから今画面に映っている写真(動画では2分頃から)が二番街で、その写真右側の黒いビル(梅林堂)の1Fが、前に「babyism」の表記-1に書いたエロい下着屋さんです。

柏駅前(高島屋)は今、工事中*4らしいけど、刻々と変わる都市の環境にたいして、あメールきた、もう出ないと。
ではまた。(°ー°)ゞ

*1:Sweet Dreams参照。マルクス・アウレリウス、「自省録」。

*2:思想地図 vol.1」(NHKブックス)に執筆している。

*3:それは1920年代(1929年の世界恐慌以前)に発表されたル・コルビュジエの「300万人の現代都市」(1922年)や「ユルバニスム」(1925年)と極めて相性が良い。

*4:建築家・大江匡が設計。柏駅前が二子玉川みたいになる。

100年後

昨日の記事のニュース。

「高層ビルはエネルギー消費量が多い」

これは本当かな?
建物の「製造エネルギー」に関しては、僕の本家のブログ「babyism」の「For Tomorrow」の記事で言及しているけど、単体としての高層ビルが「省エネ」ではなくとも、それを取巻く地域や都市全体で測定した場合は、高層ビルのある都市のほうがじつは「省エネ」である、という結論に達する可能性もなくはない、という気はする・・
「エネルギー消費量」から都市の理想形を考える、というアプローチは、僕にとって、とても魅力的です。「babyism」では「効率性」*1から、都市について、いろいろ考えているけど、その他にも、この「エネルギー消費量」(消費エネルギーを最小にする都市)から、更には「経済性」(製造・維持コストを最小にする都市)から都市の理想形を考えるなど、いくつかの方向性はもちろんあります。その中で僕が「効率性」を選んでいるのは、計算がし易いから*2、という理由もあるけど、「効率性」は「エネルギー消費量」や環境問題と、つながり得る性質があるので、うまく接合点がもてて、合成できればいいと思っています。*3

・・これ貼ります。

独占!中村修二・ひろゆきが語る“エンジニア幸福論”
―(中村修二)先生が予測する「100年後の技術進化」とはどのようなものでしょうか。

(中略)技術進化を予測するより、二酸化炭素削減と代替エネルギーの問題を解決するのが先だと思います。私も2〜3年前には気にしていなかったのですが、この数カ月の原油高もあって最近は非常に関心をもっています。
米国では(中略)2〜3年前なら皆がバイオテクノロジーをやりたいと言っていたのに、現在ではクリーンエネルギーや省エネを研究したいという学生ばかり。バイオテクノロジーのときは私は関係なかったけれど、今では青色LEDで省エネができるとアピールしています(笑)。

うーん。
宮台真司はブログのこの記事で、「社会保全としての環境問題だけが唯一の突破口」と書いています。これはメモしておく。

ひろゆきさんが予測する「100年後の技術進化」とはどんなものですか。

こんなものがあったらいいな、という意味でなら、『スタートレック』に出てきた、原子レベルからそっくり同じものを複製できる装置(レプリケーター)。何でも自由にコピーできるとモノに希少価値がなくなるでしょ。すると財産が財産でなくなって私有財産制が崩れ、社会のシステムが変わると思います。
そして、人間の複製ができないとすれば、財産としての人間の独占が始まると思います。スポーツができるとか美人だとか、知能とか声とか、生まれもったものが過大に評価されていく。あったら面白いかなと。

うーん。
僕が理想としている「用途混合型の都市」は、ドラえもんの「どこでもドア」があれば、論理的に可能だな、と考えたことはあった(笑)*4ひろゆきはラディカルです。
でも、100年後なんて・・こんなニュースもあるけど、予測できるものなのか。┐(゚〜゚)┌

*1:全ての都市は人々の移動距離が常に最小となるようにオートマチックに組織されている、という公理をベース(単純な事実、出発点)にしている(For Tomorrow参照)。

*2:それでも、意外と計算は大変だったりする。「エネルギー消費量」や「経済性」の場合は、もっと大変だと思われる。ついでに、消費エネルギーを最小にするための都市のアナロジーに「馬の走行」(表記-2参照)がある。

*3:「効率性」から「高層ビル」を否定できないということは、僕の計算から判明している。だから、正直言うと、「高層ビル」を否定するロジックを僕は欲している(笑)。それは理論的にはズルイかも知れないけど、そういうロジックがあれば使う。

*4:「用途混合型の都市」には必ず「都市成長境界線」が必要で、この境界線は人口を制限するので、排他的に作用する。排他的ではない「用途混合型の都市」をつくるには、「どこでもドア」が必要になる(Integral Project-1参照)。

先月のニュース。

パリに高層ビル林立?高さ規制解除へ 市民は反対多数
朝日新聞、2008年7月9日)

景観保全のため、新規の建築物の高さが過去30年以上にわたって最大37メートルに制限されてきたパリ市で、ドラノエ市長が8日、最大200メートルの商業施設など市内6カ所の高層ビル構想を示し、市議会がゴーサインを出した。高層ビル建設が続いた70年代以前に逆戻りすると批判されたが、住宅確保策も兼ねる形で押し切った。
構想は、高さ150〜200メートルの商業施設や高さ50メートルの住宅施設を、市の外周道路沿いの6カ所に建設するもの。ドラノエ氏はこの日、「タブーはなくそう」と構想の具体的な検討に入ることを市議会に諮った。高さ制限を定めた都市計画の変更を経て、10年には着工に入る段取りだ。

これは驚いた。*1
でも、あり得なくはない。*2

これに対し「高層ビルはエネルギー消費量が多い」と連立与党の「緑の党」が反対。パリ市では野党の民衆運動連合(UMP)も「住宅施設は孤立した移民街になりかねない」と反対に回った。だが、社会党など与党の大半が賛成し、過半数を確保した。
高層ビル反対の引き合いに出されるのが、セーヌ川左岸にあるモンパルナスタワー(210メートル、72年完工)。ガラス張りの59階建てオフィスビルは周囲の景観を損なったと批判され、77年に原則37メートルまでとする高さ規制が導入される原因になった。04年の調査では、市民の6割以上が高層建築に反対している。
それでもドラノエ氏が解禁に踏み切ったのは、首都圏の将来像を巡り積極的な発言が目立つサルコジ大統領への対抗心からだとの指摘がある。次期大統領選で2人が対決する可能性がささやかれていることも背景にありそうだ。

うーん。
でも、本当は、僕の地元の千葉県柏市*3について何か調べてから書こうと思って、「柏市中心市街地活性化基本計画(平成20年3月)」のファイルを開いて読んでいるうちに、目がとろけてきた。
11ページまでは読んだけど(全部で108ページある)。
華の都のパリとローカルな柏の話が、感動的に(抽象的に)結ばれるはずだったけど、それは夢の中で。Zzz...
あとそれから、「下北沢再開発」のような問題は、他人事だと思っていたのに、柏駅駅前にも高層マンションが建つらしい。まぁ、それもそうだなぁ。(´;ω;`)

*1:ル・コルビュジエの「ヴォワザン計画」(パリ、1925年)を想起させる。表記-6参照。

*2:Paris 2015」という投稿動画が興味深い(あり得なくはない)。ちなみに、既に決まっている、ラ・デファンスに建設される新しい高層ビルは、Tour GeneraliTour PhareTour Signal(いずれも高さ300メートルを超える)。

*3:郊外の景色-3表記-1Material World-3XKinkyo-1参照。今週、帰省する。