イオンレイクタウン

うーん。

国内最大級ショッピングセンター 越谷にオープン
産経新聞、2008年10月2日)

イオンは2日、国内のショッピングセンターで最大級の売り場面積を持つ「イオンレイクタウン」を埼玉県越谷市にオープンした。店舗数は566店で、開店と同時に大勢の人でにぎわった。ショッピングや食事のほか、映画やアミューズメント施設など消費者のあらゆるニーズに応える街のような施設とし、低迷する個人消費を喚起する。
イオンレイクタウンは施設面積が約22万平方メートル。施設の端から端までの距離は約1キロに及ぶ。開発費は約850億円に達する。
同日の記者会見で、イオンの岡田元也社長は「用地確保の問題はあるが、同規模の施設をほかにも出店したい」と述べた。

大きいよ。

「イオンレイクタウン」のウィキペディアこの写真を等倍で(「高解像度での画像」で)見ようとすると、案の定、横スクロールしないと見れません。

(´・д・`) こ、これは見づらい。

これがbabyismのIntegral Project-2で書いた「低層で水平に広い建築」の正体(映像)です、この建築物とPCモニター(画面)のプロポーション(縦横比、横長比)の違いをつくづく実感させられます*1。でも、歴史を紐解いてみれば、この「低層で水平に広い建築」が、新しい建築論(芸術論)の始まりの合図である、という可能性もあり得ます。*2

(これとは逆の「垂直」の建築(超高層建築)では、「アイコン」*3に関する分析が、建築論へ接続可能なのではないかなぁと思ってます)

それから、「イオンレイクタウン」についての別の視点のニュース(下記)。

イオン 専門店565、最大級SCオープン 「環境」全面に巻き返し
(フジサンケイ ビジネスアイ、2008年10月3日)

(前略)東京駅まで60分弱でアクセスできるJR武蔵野線「越谷レイクタウン駅」に隣接する足回りの良さを生かし、郊外型店と駅前店の利点を兼ね備えている。

(中略)一方、周辺の競争は激化する一方だ。大規模複合施設「新三郷ららシティ」家具専門店「イケア」*4が11月に開業するのを皮切りに、会員制倉庫型店舗「コストコ」、複合型大型ショッピングセンター「ららぽーと」と大型店の開店ラッシュが控え、業態を超えた競争が激化しそうだ。
岡田社長は「勝ち抜くには、常に消費者へ新しい提案が必要で、エコも重要なキーワードのひとつ」*5と新しいライフスタイルを提唱することで消費者へのアピールを高め、差別化を図りたい考えだ。

しかし、イオンを取り巻く経営環境は、次なる大型SCを視野にいれるほど楽観はできないのが実情だ。(中略)衣料専門店や家電量販店の台頭で、グループの稼ぎ頭だった総合スーパー(GMS)の利益率低下に歯止めがかからない中で、米国発金融不安で消費者の節約志向にもさらに拍車がかかる、逆風の中での厳しい船出となった。(後略)

とりあえず、越谷の「イオンレイクタウン」も「新三郷ららシティ」も、JR武蔵野線の駅前に立地しているところが重要なのかな。

これは、2006年にJR川崎駅の駅前にオープンした「ラゾーナ川崎プラザ*6やTX柏の葉キャンパス駅の駅前にオープンした「ららぽーと柏の葉*7と、同じ方法です。これはどういうことなのか…は(興味がある方は)ぜひ考えてみてください(笑)。その一方で駅前の百貨店や商店街は衰退しているのですけどね、不思議な(都市の)現象です。

ちなみに、前にbabyismのブログのKinkyo-2で、「ラゾーナ川崎」が川崎駅に直結していながら2000台の駐車場があることも、新しい兆候である!とか書いたけど、「イオンレイクタウン」の駐車場台数は8200台です。(「ららぽーと柏の葉」は3600台)

それから、イオンの計算によると、「イオンレイクタウン」の商圏人口(車30分圏)は約330万人とのことです。首都圏(東京都市圏)の人口は約3300万人なので、首都圏の約1割の人が車で30分以内に訪れることができる*8、ということになります。

これは8月27日「どこでもドア」で書いた(都市)空間の「どこでもドア」化、なのかも知れません。更にひょっとしたら、babyismのFor Tomorrowで書いた「アシキタス的リアリズム」が現実味を帯びてきているということなのかも知れません。とりあえず、そんな具合にいろいろと考えられるのではないかなぁと思います。

もちろん、babyismのIntegral Project-2で書いたような、百貨店とショッピングモールの建築形態の違い、すなわち、「箱形の建築」と「低層で水平に広い建築」の違い、これも重要です。

(。・ω・) ふーん。

あと、9月27日「モーション・タイポグラフィ」で、(ショッピングモールの)「2核1モール」は完璧でもない、と書いたけど、「イオンレイクタウン」は既に、「2核1モール」型から脱却しています。babyismのGuide to Shoppingで、日本のショッピングモールの形態の歴史(トランスフォーメーション)を図解したけれど、そこから更に、着々と進化しているのです。

ショッピングモールが進化する理由のヒントは上記のニュースに書かれています。9月27日「モーション・タイポグラフィ」で貼った読売新聞の「三越が池袋などの4店舗閉鎖へ」(2008年9月25日)のニュースも関係しています。つまり、どういうことなのか…は、興味がある方は考えてみてください。ついでに、これは日本だけで起きているという特殊な現象でもありません。

以上です、「イオンレイクタウン」については、また書きます。

とりあえず、実際に見に行ってこようかなぁとは思ったけど、この動画(下に貼ったYouTube)を見て、この建築物のスケールの大きさに今おののいているところです(笑)。セグウェイに乗りたい。♪

(リンクが切れていたらもうない、他の動画はここ

(追記)
越谷レイクタウン」の全容はここ。計画人口は約22,400人、2013年に完成の予定。

*1:PCモニター(画面)の比率は4:3。16:9もある。

*2:例えば、有名な「形態は機能に従う」form follows function)という言葉は、ルイス・サリヴァン「The Tall Office Building Artistically Considered」(1896年)で初めて使われたが、これは史上、前例がなかった「高層オフィスビル」への芸術論であった。TRANSPARENCY参照。

*3:9月27日「モーション・タイポグラフィ」参照(「アイコン」について)。ちなみに、今月の「中央公論」の特集で、建築家の磯崎新は(「ドバイは国全部がゴミの山みたいなもんですよ」で)「アイコン」について言及している。少し引用すると、「僕の言うアイコンとは(中略)キャラの大型のものかもしれません。キャラってのは、一人でつくっていないわけですよ。とりわけアニメの場合。まあこれは又聞きですが、何かインターネットに出ると(中略)無名の人間の書き込みの集合がですね、一番最初のオリジナルを(中略)変えてしまうわけ。で、僕は昔は「作者を消せ」と言ったけど、今は作者はもうとっくに消えていて、いない。そのかわり、無数の無名の作者のアクセスがある。その中でオートマティックにセレクションがされている」。

*4:8月5日「イケア」参照。

*5:8月11日「100年後」参照。

*6:Integral Project-2参照。

*7:8月20日「柏の葉から考える」参照。

*8:Integral Project-3参照(レム・コールハースの「…彼らの計算によればその空港は、人類の七割が二時間のフライトで来られるというんだな」とやや重なる)。