イオンレイクタウン-3

これ忘れてた。

高島屋:新館がオープン 年間売り上げ80億目指し−−柏駅西口 /千葉
毎日新聞、2008年10月2日)

「柏高島屋ステーションモール新館」が1日、JR柏駅西口にオープン。(中略)既存の高島屋3館を含む計4館の総面積は約5万平方メートルで、駅直結型ショッピングセンターとしては常磐線東武野田線沿線で最大級だ。

(中略)柏市内では約2年前、郊外型の大型ショッピングセンターやつくばエクスプレス(TX)駅前の大型店*1が相次いでオープン。今後、競争激化が予想される(後略)。

8月13日「柏 マイ・ラブ」の末尾にこれ書いたのを忘れてました。柏駅前の二子玉川化が完了した模様です。

うーん。柏はもっとスポーティ(sporty)なデザインのほうが似合うような気がする。*2

こういうガラス張りのデザインは「透明」(景色から消える)で「ニュートラル」(中立的)であるとか言われるけど、ここまで(柏の)環境から浮いてしまってるケースは今までにはあまりなかったような気がします。ガラス張りそれ自体が確立された一つの「様式」にも見えます。でも、まあ、こうやって「様式」が次々と上書き(overwrite)されていくことも、都市の魅力なのかも知れません。

ところで、プランを見ると、「柏高島屋ステーションモール新館」の2階が全て「駐輪場」になっています。多くの町や都市の駅前では「駐輪場」のスペースの不足が問題となっていますが、これは、その問題を積極的に「建築」に取り入れることで、来店客の増加につなげようという作戦なのかも知れません。*3

この「駐輪場」の問題は、僕は面白いと思います。駐「車」場の問題は、babyismのIntegral Project-3で、アメリカの都市を例に少し書きましたが、日本の駅前の、あの雑然とした「駐輪場」をどうするか、どう「建築」で解決できるのかを探ってみる…と言いたいところなのですが、先月、ネットでこれ(下記)を見たときの衝撃をすぐに思い出しました。

「建築」ではなく、「工学」で解決されたらしい。*4

異常に近未来な平井駅の駐輪場(動画)
(ギズモード・ジャパン、2008年9月11日)
駅前の限られた面積の中で自転車をたくさん収納する必要がある東京の駐輪場は、外国の方から見ると脅威の独自進化を遂げつつあるようです。

Σ(- -ノ)ノ

都内では既にそこそこ普及しているらしい(YouTube)。今度、注意して駅前を見て歩こう。まあ、YouTubeを見ると、日本の(日本人には見慣れた)「機械式(立体式)駐車場」でも外国人には衝撃的であるらしい(笑)。日本の「カプセルホテル」に感動するような、そんな感覚かな。*5

自転車については、いずれまた書きます。とりあえず、先週の10月19日「イオンレイクタウン-2」で引用した「地球温暖化対策とまちづくりに関する検討会」の報告書によると、「移動距離が300mから5kmの間は、(中略)他の交通機関に比べて自転車に比較優位がある」らしい(下図)。*6

では、本題。

先週、「イオンレイクタウンに行ってきましたー♪」みたいなブログ(ウェブ日記)を見て回った。

これは面白い。買った商品をデジカメで撮影してブログに載せていたり、店内についてかなり詳細にレポートしていたり、でも、こういうブログはイオンの人は絶対、チェックしている気がする。いわゆる「お客さんの声」がダイレクトに返ってくる(しかも勝手に書いてくれる)なんて、企業にとっては良い情報だし、もちろん「お客さん」の側にも、それなりにメリットのあることだと思います。

あと、「イオンレイクタウン」での滞在時間が「4時間半」という人がなぜか多くて、ちょっと笑った(笑)。これが人間の体力の限界なのでしょう。

あと、東京でアパレル関係の仕事をされているという方が、この「イオンレイクタウン」を訪れてみて、「東京全体が空洞化してしまいそうな恐怖感を持った一日だった」と感想を書かれていたのですが、その予感は本物です(笑)。正解です。前回の10月19日「イオンレイクタウン-2」で、「ここから『東京』(東京圏)の未来を予測することは可能です」とまで僕は書きましたが、それが「東京」の未来です。

僕のその予測は、9月25日「蘇生」で書いた(いや、ほとんど書いてないw)「都心流入率」の都市モデルの計算(「効率性」の原理)にも基づいていますが、それは別としても、統計を見ると、実際に東京の「都心流入率」は減少し続けていることはすぐ分かります。また、それはbabyismのEdge City(エッジシティ)で書いた、アメリカにおける都市の変化とも似ています。

ジョエル・ガロー(Joel Garreau)は、91年に「エッジシティ」という本で、戦後のスプロール現象を三期に分けて説明した。*7

  1. 住宅の郊外化(Suburbanization)
  2. 商店の郊外化(Malling of America)
  3. 職場の郊外化(Edge City)

それから、babyismの美しい景観-4で、「東京のオフィスワーカーは減少傾向にある」と書いた後に、「東京は、いまだ知られてない(都市の)利用のされ方へ向かっているのかも知れない」と、ポジティブに、新しい都市・東京の未知なる可能性を僕は期待していたのですが、現状を見ると、東京には高層マンション(都心マンション)が並び建つというだけの、「つまらない」結論へと至りそうで、これは残念です。

巷では(とくに建築の世界では)、都心マンションは「職住近接」の理念が実現されているので好ましいと見なされている方が多いですが、僕はそれはないと思います。僕の考えでは、僕の理論モデル(仮説)が正しいならば、都心マンションはbabyismのIntegral Project-2で書いた「都心の郊外化」です。更に、あえて分かりやすく言うと、都心マンションは「都心のベッドタウン化」、「都心のニュータウン化」です。

8月22日「ファスト新宿」では僕は、「都心」対「郊外」という二元的な図式はじつはあまり意味がない、と書きましたが、それと同様に、都心マンションが「職住近接」であるということにもあまり意味がないのです。

でも、この辺の話は、9月25日「蘇生」でも書いたけど、語学力の足らなさもあって、なかなかうまく(分かりやすく)書ける気がしない(笑)。

大雑把に書くと、都市(都市圏)を「区域」に分割して、それぞれの区域を個別にスタティック(static)に捉えるのではなく、都市(都市圏)全体を一つの「磁場」や「ベクトル場」として、ダイナミック(dynamic)に一挙に捉えなければならない。そして、この視点を獲得する手段が、「仮説」としての都市の理論なのだということです。*8

以上です、

ん?

いや、違う、あれ?「イオンレイクタウン」の話はどこへ行った?

Σ(- -ノ)ノ 

また今度書きます、今日はおしまい(笑)。

(追記)
要するに、「イオンレイクタウン」と「都心マンション」は連動しているということです。うん、これで話がきれいにまとまった。

*1:8月20日「柏の葉から考える」参照(「ららぽーと柏の葉」について)。

*2:柏(千葉県柏市)は僕の地元(故郷)。8月17日「柏から考える」参照。

*3:ひょっとしたら「柏市」が「高島屋」に要請したのかも知れない。いや、改築前から2階の全てが「駐輪場」だったかも、あれー?記憶がない。(追加:調べたら、ここは元々は銀行だった。「改築」ではなく「新築」)

*4:http://www.jfe-kansol.co.jp/sangyo/toshi/cycle/01.html

*5:8月22日「ファスト新宿」に貼った、ザ・キラーズの「Read My Mind」のPVに「カプセルホテル」が出てくる。ガチャピンは不明。

*6:Polyrhythm参照(「自転車」について)。ちなみに、「イオンレイクタウン」の「駐輪場」の台数は6,200台です。

*7:正直言うと、その英語の本は僕は読んでいない。「サステイナブル・コミュニティ―持続可能な都市のあり方を求めて」(川村健一、小門裕幸著)にその本についての詳しい解説がある。コンパクトで読みやすい、とても良い本です。

*8:Integral Project-1参照(「ベクトル場」と「仮説」について)。