マンハッタンのゆくえ (後)

書きたいことが山ほどある、というよりも、今現在、世界が慌ただしく動いていて、その「速さ」にこの日記が追いついてないような焦れったさを、どうしても感じてしまいます。

ざっと、ニュースだけ貼っておきます(下記)、ほんとに極端です。

世界最大級の商業施設、ドバイでオープン 1200店舗開業見込み
日本経済新聞、2008年11月5日)*1

ヤマダ電機:三越池袋店跡に出店 10年中にも開業見通し
毎日新聞、2008年11月6日)*2

ドバイ経済に変調 金融危機・原油急落…
日本経済新聞、2008年11月7日)

「欧州で最も高価なビル」ほぼ半値 パリのタワー破産
朝日新聞、2008年11月7日)*3

まるで、経済の「速さ」と建築の「遅さ」がぶつかっているみたいです。

あと、このニュースが面白かったです(下記)。

【原宿スナップ】“建築的構造”の靴!?モード系女子にはたまらない「ユナイテッドヌード」*4
日本経済新聞、2008年10月31日)*5

「ユナイテッドヌード」については、いずれまた詳しく書きます。“靴は最小の建築”であるそうです。また、“シューズ+建築的構造=これまで以上に優れた人体との一体感”というコンセプトも、僕はとても気に入っています。

それは僕がbabyismのスケーリング-5の記事で「都市とは一つの乗り物です」と書いていたり、Integral Project-1で「身体に触れるヴァイオリンや椅子のような都市が僕の理想」と書いていたことに通じている何かだろう、と思います。つまり、要するに、僕は“建築的構造”の都市(都市理論)を目指している、ということです。*6

では、えーと、あれ?今日の本題は何だっけ(笑)。

ヾ(・ω・`;)ノ あわわわ。

先週の11月2日「マンハッタンのゆくえ(前)」で引用した、クラレンス・ペリーの「近隣住区論」を少し補足すると、その文章にある「ニューヨークの街路システム」とは主に「グリッドシステム」のことです。これはbabyismのFlamboyantに書いたニューヨークの歴史や9月3日「抹消された「渋谷」」に書いた磯崎新のエッセイを参照してください。それと、同文章の「地下鉄は、そのルートに沿って高層建築物の建設を促進してきた」はbabyismのWorld of Tomorrowの補足を、軽ーく読んでみてください。

「マンハッタンのゆくえ」については、マンハッタンの最新の高層マンション(ヘルツォーク&ド・ムーロンこの高層マンションやジャン・ヌーヴェルのこれこの高層マンション等)の展開について書こうかな*7とは考えたけど、サンティアゴ・カラトラバ*8の(マンハッタンの)この高層マンションはすでに建設中止が決まっていたり、先行きが見えないので止めます。

それよりも、このニュースです(下記)。

MetroNorth now carries more riders among suburbs than to NY
The New York Times、2006年10月17日)

For the first time in its 23-year history, the Metro-North Railroad is carrying more riders from suburb to suburb than to downtown New York, according to data compiled by the railroad.

このニュースは「もっと学ぼうニッポン:ブログ時代の日本語学習 」というブログの「NY周辺でもエッジシティー化?郊外からNYよりも郊外から郊外客の増加」の記事で見つけたのですが、まさにそのタイトルにある通りです。「エッジシティ」については、10月26日「イオンレイクタウン-3」でも書きましたが、ニューヨーク(マンハッタン周辺)でもエッジシティ化が着実に進行している模様です。

このニューヨークでの都市現象と現在の東京は似ている、と思います。都心に高層マンションが並び建つ一方で周辺は(同時に)どんどんエッジシティ化していく…というこの現象は、僕が9月25日「蘇生」で書いた「都心流入率」の減少による「効率性」で一気に(同時に)説明することが可能です。僕の都市理論はもちろん「仮説」ですが、それでも、これは理論の力であると僕は思います。

そんなわけで、僕はこの都市理論について、きちんと、言葉を尽くして書かなければならないわけですが、悩みます。この現象を比ゆで説明するなら、babyismのIntegral Project-3の4に貼ったセル・オートマトンこの動画(YouTube)みたいに、都市(都市圏)が成長する(都市半径が増加する)につれて、都市(内部)が同心円構造からカオスへ移行する、ということです。

そのように変化する理由は、同心円構造よりカオスのほうが「効率」が良いからなのですが、それはbabyismのスケーリング-3で書いた説明とは全く逆のことなのです。これにはbabyismのIntegral Project-1や、このブログの8月11日「100年後」の注釈で書いた「都市成長境界線」が関係しています。要するに、都市(都市圏)そのものが物的・空間的にある臨界点としての成長限界に達すると、都市(都市圏)内部の構造を変えること(同心円構造→カオス)で、都市(都市圏)の成長を継続させている、ということです。

また、その8月11日「100年後」の注釈では、「用途混合型の都市」には必ず「都市成長境界線」が必要、と書きましたが、現在の東京の都心に高層マンションが建ったり(「職住近接」)、東京近郊に「イオンレイクタウン」が建ったりするのは、東京が一つの臨界点を越えた段階にある、東京そのものが「都市成長境界線」を既に引いている、ということを意味します。

同様に、11月02日「マンハッタンのゆくえ(前)」で書いた、1920年代のマンハッタンが「交通渋滞」が原因で「職住近接」型の都市になったという説明も、「交通渋滞」という内発的要因によって、「都市成長境界線」が引かれた(引かれてしまった)、という意味です。*9

こんな説明で、うまく伝わっているのかどうかの心配は相当ありますが、更に、話を先に進めると、では、8月11日「100年後」の注釈で書いた、僕が理想としている「用途混合型の都市」と*10「職住近接」型の都市としてのマンハッタンや未来の東京は結局、一致するのではないか、という考えも浮上してきます。「都市成長境界線」を計画的に(積極的に)引かなくとも、それが自生的に(消極的に)引かれるのであれば、結果的に同じことではないか、ということです。そもそも僕は「都市成長境界線」を引くという行為の「排他」的な性質に対して、ずっと躊躇し続けているのだから、願ったり叶ったりではないか、とも言えなくもありません…

が、この話は長くなるので、また改めて書きます(泣)。

Σ(・ω・ノ)ノ

じつは、この先の説明には「都市経済学」を使うのです。今日書こうと思ってたのですが、「都市経済学」について結構忘れていて(僕は「経済学」が苦手です、サーセンすいませんw)、次回までに復習しておきます(笑)。*11

大雑把に言うと、先週の11月2日「マンハッタンのゆくえ(前)」で書いた、「原因と結果の悪循環」が起きる、ということです。アメリカの(風刺)漫画で例えると、こんな感じかな(下図)、うーん。

さて、あとは、先週の11月2日「マンハッタンのゆくえ(前)」で、今回は、都市の未来や僕たちの理想や希望の話を書く、とも書きましたが、それは、少なくとも、この記事の冒頭に「世界が慌ただしく動いている」と書いたこととは真逆の、時代の荒波に流されないように、安定へ向かわせる何かであるとは言えるでしょう。要するに、いわゆる「神の見えざる手」に庇護されている範囲は割と限られている、ということです。*12

と言っても、僕は「経済学」は苦手ですけどね(笑)。次回は「都市経済学」か都市社会学者のリチャード・フロリダについて書きます(予定)。または、その辺りの僕の専門外の話をします。ちゃんと復習しないと。「理想や希望の話」は継続して、これからも書きます、以上です。

(*・ω・)ノシ

*1:Guide to Shopping参照。「ドバイモール」の床面積の約110万平方メートルは「イオンレイクタウン」の約5倍の広さです。ちなみに、「ドバイモール」も駅前に立地している、一応。

*2:9月27日「モーション・タイポグラフィ」参照(「三越が池袋などの4店舗閉鎖へ」のニュース)。

*3:8月10日「柏」参照(「パリに高層ビル林立?高さ規制解除へ」のニュース)。

*4:http://www.unitednude.com/index.php

*5:ちなみに、この記事の、レム・D・コールハースなる人物は、建築家のレム・コールハースの甥です。

*6:日本参照(「建築でできた街」)。

*7:ニュー摩天楼-1ニュー摩天楼-2参照。

*8:10月2日「別世界性」参照。カラトラバは、シカゴに建設中の超高層ビル、「シカゴ・スパイア」の設計者。

*9:補足すると、これは、マンハッタンが「職住近接」型の都市になった理由と、東京に都心マンション(高層マンション)が建つ理由は同じではないということも説明している。それから、極端に言えば、8月27日「どこでもドア」で書いたように、都市は(交通)工学的に閉じている、絶対的に有限(「都市成長境界線」がある)であり、無限に成長し続けるということはあり得ない。

*10:Integral Project-1参照(用途混合型の都市)。

*11:Natural World-4(の補足)の6参照(「経済」とル・コルビュジエ)。

*12:8月5日「イケア」の注釈2参照(都市と自由放任主義)。